スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

('A`)ドクオは勇者になったようです ‐12‐『音楽都市』


1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:32:17.72 ID:xhU6TOcP0
まとめさま
ttp://naitoutekiseikatu.blog31.fc2.com/blog-entry-25.html

心なしか短い気がするが、投下する。



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:33:07.19 ID:xhU6TOcP0
 またんき襲撃によりできた傷を癒すため2日を杉浦城で過ごし、3日目の朝。

腹の痛みも幾分か和らいだので、
クーも一緒に僕らは『音楽都市』を目指して北へと出発する。

細く伸びる砂利道をのんびり歩いていくと、
やがてどこからか陽気な音楽が聴こえてきた。


('A`)「この音は?」

川 ゚ -゚)「ラッパ」

( ・∀・)「ヒロユキ街歓迎隊の音楽じゃないかな、多分」

('A`)「へぇ、そんなのがあるのか」


 音が聴こえて数分後。

『音楽都市』の名に相応しい、ヒロユキ街の外観が、
地平線の上に見えてきた。


(;'A`)

( ・∀・)

川 ゚ -゚)

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:34:32.32 ID:xhU6TOcP0
 ……何と言うか……。

うん、……街中がこう、ファンシーな感じに飾り立てられてる……。

小さい女の子とかが好きそうな……。
カラフルすぎて目がちかちかしてくるような……。

そんな街だ……。
うん……。


(;'A`)「(落ち着かねぇ……)」


 街の門の手前では、『歓迎隊』の人達が様々な楽器を演奏している。

彼らの間を通り抜けてすぐの場所には、
大きな噴水がある広場があった。

そして、その噴水の前に―――


('A`)「あ、あの人……」

lw´‐ _‐ノv


 VIPの服屋で会った、あの人がいた。

その表情は重く、泣き腫らしたかのように目が赤い。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:35:37.87 ID:xhU6TOcP0
( ・∀・)「……え、なに? ドクオのくせに、女の子と知り合い?」

('A`)「どういう意味だそれ」

(;'A`)「うーん……どうなんだろうな……。
    知り合いというか……」

川 ゚ -゚)「なんかめちゃくちゃ思い詰めた顔してるぞ、大丈夫なのか?」


 クーの言う通り、彼女は傍目から見てもかなり憔悴しきってるように見える。

初めて会った時はどうだったか。

クーとは違ったタイプの無表情だった気がするな。


lw;´‐ _‐ノv


 ……彼女はそわそわと噴水の前をうろついては、
不安そうに携帯をチェックしていた。

何であんなに思い詰めた顔してるんだろう。

そういえば、兄者たちも彼女に呼ばれたとか言ってたか……。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:37:16.29 ID:xhU6TOcP0
( ・∀・)「まぁ、とりあえず話し掛けてみなよ」

(;'A`)「あ、うん」


 僕が噴水に近付くと、気配を察したのか彼女は、
長い茶髪を揺らしてこちらを見た。

前会った時より、少しやつれた感じがする。


(;'A`)「あ、……え lw;´‐ _‐ノv「ごめんなさい!!」


 なんて話し掛けようか考えるよりも先に、
女の人は腰を深く折り曲げて何度も何度も謝りだした。

それはもう、こっちが面食らうくらいの勢いで。

……謝られるような事をされた覚えは、特に無いんだけど


lw;´‐ _‐ノv「どんな罵倒も受けるし、殴られても殺されても構わない。
        本当に、ごめんなさい。すみませんでした。申し訳ありません」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:38:37.66 ID:xhU6TOcP0
(;'A`)「ちょ、ちょっと待った、あなたは何に謝ってんの?
    人違いじゃないですか?」

lw´; _;ノv「……人違いじゃないから、君を呼んだんだよ」

(;'A`)そ


 細い瞳に涙を浮かべ、女の人は手で顔を覆い隠してしまった。

少し離れた場所にいたモララーとクーも、
何事かと彼女の元へやって来る。

……何なんだろう、一体。


**********
**********


lw´‐ _‐ノv「……取り乱してすまなかった。もう大丈夫だ。
       ……よければ、私の話を聞いてくれないか」


 ますます赤くなった目を伏せ、
女の人はクーに支えてもらいながら滔々と話し始めた。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:39:16.03 ID:xhU6TOcP0
lw´‐ _‐ノv「……私の名はシュール。
       ドクオ、君が今ここにいるきっかけを作った、張本人だ」

('A`)「あ、そうなんですか」

(;'A`)「……」


 ……え?


(;'A`)「……ん? どういう意味っていうか……。
    すいません、言ってる意味がよく分かんないんですけど……」

lw´‐ _‐ノv「……勇者法案を考えたのは、私だ」

( 'A`)

(;'A`)「…………はぁ」


 ……この人、何言ってんだ?

勇者法案考えたのは私だ、って……。

いや……何言ってんの?


lw´‐ _‐ノv「君を勇者に仕立て上げて、
       ラウンジに追放したきっかけを作ったのは、私だ」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:40:19.10 ID:xhU6TOcP0
lw´‐ _‐ノv「……機械文明の発達で、
       VIPでは人は働かなくても生きていけるようになったのは、
       ニートだった君が一番よく知ってるだろう?」

lw´‐ _‐ノv「でも、君らを生かす金がどこから捻出されてるか、
       考えた事はあまりないと思う」

lw´‐ _‐ノv「ニートを養っているのは、まともに働いてる人たちだ。
       それに甘んじて、ニートの数は増えるばかり」

lw´‐ _‐ノv「だから、常に私たち政府の人間は、ニートをどうやって働かそうかと頭を悩ませていた。
       CMや広告で就職を促しても、結果は芳しくない」

lw´‐ _‐ノv「いっそのこと無理やり就職させてしまえばいいと、
       政府が選んだニート数人に仕事を宛てがったんだが、
       それすらも全員が途中で放棄して逃げ出す始末」

lw´‐ _‐ノv「本人のやる気が無ければ、到底仕事なんて続かないんだよ。
       そして、そのやる気を起こさせるには、
       些か無茶苦茶な方法を取るしかないという結論に至った」

lw´‐ _‐ノv「だから、モナー大統領に言ったんだ。
      『一定期間の猶予を設けて、それでも就職しないニートは、
        みんなラウンジの亜人や魔王討伐に行かせればいい」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:41:04.20 ID:xhU6TOcP0

lw´‐ _‐ノv「そうすれば、時々VIPに侵入する亜人も、もしかしたらいなくかもしれないし、
       生活保護を受けているニートたちの分の費用は、VIPをもっと良くする為に使える』」

lw´‐ _‐ノv「『何を言ってるんだ』と、一笑に付されると思ったし、
        私だってそこまで本気で言った訳じゃなかった」

lw´‐ _‐ノv「そりゃあそうだろう。ラウンジに追放したニートの生死のことも考慮してない上に、
       VIP中のニートをラウンジに一斉転送する費用も馬鹿にならない」

lw´‐ _‐ノv「なによりも、そんなことをして国民が黙ってる訳がないだろうとも思った」

lw´‐ _‐ノv「でも、……モナーはそれを採用した。
        私たちが危惧していたよりも、かなり勇者法案は国民に支持された」

lw´‐ _‐ノv「国民もニートに対して良い印象は持っていなかったから、物凄い勢いで支持されたようだ。
       モナーは勇者法案を考えたのは自分だと言いたかったんだろうな。
       勇者と一緒に、私もラウンジに追放された」

lw´‐ _‐ノv「だから……君が恨むべきは私だ。私なんだ。
       許してくれなんて言わない。ただ、謝りたい。……すみませんでした」

(;'A`)「ご、ごめん、ちょっと難しくて理解出来なかった……。
    簡単に言うと?」

lw´‐ _‐ノv「勇者法案を作ったのは、私だ」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:42:07.35 ID:xhU6TOcP0
 …………。

あぁ、どうしよう。
勇者法案を考えた人に会ったら、言おうと思ってたことが沢山あったはずなんだ。

あぁ、ちくしょう。

何か言いたいのは確かなのに、脳がパンクして言葉が出て来ない。

……というか、この人本当に政府の役人だったのか……。


(;'A`)「 」

(#・∀・)「じゃあ、あんたのせいで、
     ドクオはこんな所に来るハメになったってことか!?」

lw;´‐ _‐ノv「そういうことになる……。……すみませんでした」

川 ゚ -゚)「謝るだけなら誰だって出来るぞ」

lw´  _ ノv「……すみませんでした…………」


 拳を握って、シュールさんはただただ頭を下げる。

……何か言おうと思ったけど……。

言いたいことはモララーとクーが言ってくれたような気がするから、
とりあえずは良しとしよう。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:42:36.95 ID:xhU6TOcP0
……それより、この人こんな風に罵倒受ける為だけにずっとここに立ってたのか?

罵倒受ける為だけに、勇者に連絡を取って?

黙ってれば誰も知らないままだっただろうに、何でだ……?


(#・∀・)「あんたがそんなの考えt (;'A`)「も、モララー、クー! もういいよ!」

(;・∀・)「はぁ?! でも……」

川 ゚ -゚)「お前はもっと怒っていいと思うんだが」

(;'A`)「うん、でも多分、もうシュールさんも何百何千と同じ事言われたと思うんだ。
    他の人には、もっと酷い言葉も言われて来たかもしれない」

(;'A`)「確かに、危ない目には何度か遭ってるけど……
    とりあえずは無事でいられてるから、僕は別にいいよ」

(;'A`)「それにほら……。シュールさんは、VIPの為を思って言ったんだろうし」

(;・∀・)「……マジで言ってんの? 本当に?」

(;'A`)「……うん、モララーも何度も同じ事で怒られたくないだろ?」

(;・∀・)「そりゃまぁ……そうだけど……」

川 ゚ -゚)「……甘いな」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:43:12.05 ID:xhU6TOcP0
 呆れたようにクーが肩を竦める。

……いや、本当は僕だって恨み言の一つやふたつ言いたいけどさ……

勇者ひとりひとりに謝って、その度に酷く罵られてるかもしれないって事を考えたら、
とてもじゃないけど、これ以上の追い打ちはかけられないよな……


(;・∀・)「まぁ……ドクオがいいならそれで良いけどさ……」

川 ゚ -゚)「……」

lw;´‐ _‐ノv「……ごめんなさい」

(;'A`)「その代わりちょっと聞きたいんだけど、
    黙ってれば、誰もシュールさんが勇者法案を考えたなんて、知らないままだっただろ?
    何でわざわざ連絡してまで、謝ろうと思ったんだ?」

lw;´‐ _‐ノv「……黙ったままでなんていられるものか。
       何も知らないで死んでしまった人達もいるんだぞ」

lw´‐ _‐ノv「せめて生きてる勇者にだけでも謝らなきゃ、私は……」

lw;´‐ _‐ノv「……。もう…………」

lw;´‐ _‐ノv「……もう、何をどうすればいいのか分からない……」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:44:16.48 ID:xhU6TOcP0

( ・∀・)「……」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「……」

lw;´‐ _‐ノv「勇者法案を考えておいてこんなことを思うのはおかしいし、
       矛盾してるとは思うけど、私は……これ以上誰にも死んで欲しくないんだ……」

lw;´‐ _‐ノv「VIPにも連絡が取れないし、もうどうすれば……」


 すっかり参ってるみたいだ。

当然といえば当然か……


川 ゚ -゚)「……」

川 ゚ -゚)「この前ドクオに聞いたが、『勇者』は『魔王』を倒せばVIPに帰れるんだろう?」

lw´‐ _‐ノv「……ん、あぁ。うん、それは保障する。確かだ」

川 ゚ -゚)「なら、一刻も早く魔王を倒すべきだろう。
     謝罪も後悔も、している暇はないと思うが」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:44:57.73 ID:xhU6TOcP0

lw´‐ _‐ノv「魔王を……」

lw´‐ _‐ノv「…………。そう、だな。魔王さえ倒せば……みんな帰せるんだ……」

('A`)「……」

('A`)「……勇者を帰したいと本気で思ってるなら、
   一緒に魔王を倒しに行きませんか?」

(;・∀・)「はぁ?! ちょちょちょちょっとストップ!
     何言ってんだよドクオ!」

(;・∀・)「自分が何言ってんか分かってんの?!
     この人のせいで何度も危険な目に遭ってただろ?! それなのに―――」

(;'A`)「じゃあ、気が済むまでずっとここで謝り続けてろって言うのか?
    そうしてる間に、どんどん勇者は減っていくと思う」

(;'A`)「その度にシュールさんは後悔して、謝って、それの繰り返しじゃないか」

(;'A`)「だったら、一刻も早くみんなで魔王を倒しに行った方が……」

川 ゚ -゚)「……私も、ああは言ったが許しと同情は違うぞ、ドクオ。
     一時の同情で連れて行こうと思うなら、止めた方がいい。
     シュールの為にはなっても、お前の為にはならない」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:46:01.20 ID:xhU6TOcP0
 ……モララーとクーの言うことは最もだ。

確かに、一緒に行動する義理はどこにもない。

lw´‐ _‐ノv

 でも、シュールさんの頬や腕に痣があるのに気付いたら……

(;'A`)「武器は、何か支給されてる?」

lw´‐ _‐ノv「……政府の兵器開発機関で作られた銃なら持ってる……」

(;'A`)「なら、一緒に魔王討伐しに行きませんか?」

 例えそれが同情だとしても、連れて行かなきゃと思うんだ。

(;'A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「…………戦えるだろうか」

(;'A`)「分からない。やってみなきゃ、何も分からない。
    でも、後悔して謝るだけなら、後でVIPででも出来る」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´  _ ノv「…………戦う……」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:46:45.38 ID:xhU6TOcP0
lw´  _ ノv「……魔王を倒す……」

lw´  _ ノv「私は出来るだけ沢山の勇者を……帰したい……」

lw´  _ ノv「だから……一緒に行って、いいかな?」


('A`)「モララー、クー、いいかな?」

川 ゚ -゚)「良いも悪いも……。お前が決めることだろう。
     私は別に構わないぞ」

(;・∀・)「俺も別にいいけど……本当にそれでいいのか?」

('A`)「いいよ。だって一刻も早く魔王を倒さなきゃならないんだし、
   人数は多い方がいいだろ?」

(;・∀・)「まぁ、それもそうだけど……」


 さすがに、すぐには納得しきれないか

でも、個人的にはこれで良かったと思う。


lw´‐ _‐ノv「……ごめんなさい……」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:47:28.80 ID:xhU6TOcP0
 少なくとも、これ以上はこの人の痣が増えることは無くなるだろうから。

**********
**********

lw´‐ _‐ノv「VIP出身の魔王――ワカッテマスは、
       モナーに多大な恨みを持っていたはずだ」

lw´‐ _‐ノv「開発した機械類すべてをモナーに横取りされて、
       揚句の果てにはラウンジに追放されたらしい」

lw´‐ _‐ノv「……それだけが魔王になるきっかけになったとは考えにくいから、
       恐らくまだ『きっかけ』となりえる事情があったと思う」

lw´‐ _‐ノv「そして、それは多分モナーに関係すること。
       モナーも若い頃は手段を選ばない、相当無茶苦茶な人間だったそうだから……
       かなり酷いことをやったんじゃないだろうか」

('A`)「酷いことって……?」

川 ゚ -゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……知ってるか? モナーが大統領に就任した頃―――
       大体15年くらい前になるか。医療法が改正されたんだけど」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:48:03.28 ID:xhU6TOcP0
('A`)「……いや、知らないです」

lw´‐ _‐ノv「その改正案で、脳死が確認された患者は『死亡』と定義されることになった。
       もちろん特例やら細かい話もあるが、それはこの際置いておこう」

('A`)「はぁ……。それが、ワカッテマスに何の関係があるんですか?」

lw´‐ _‐ノv「ワカッテマスの友人のひとりに、
       不慮の事故によって脳死状態になってしまった人がいたそうだ。
       ここからは私の憶測でしかないけど……」

lw´‐ _‐ノv「その友人はワカッテマスにとって、家族よりも、
       何よりも大切な人だったんじゃないだろうか」

lw´‐ _‐ノv「そんな大切な人が、改正法によって突然『死亡』だと決めつけられたら……。
       改正案を棄却してくれという懇願も、全く聞き入れられなかったとしたら……」

lw´‐ _‐ノv「……私なら、政府を恨むだろう。
       ワカッテマスは、自分が作り出した機械も横取りされてる。だから……」

( ・∀・)「憶測が当たってるとしたら、恨みもひとしお、ってことか?」

lw´‐ _‐ノv「そうだ」

川 ゚ -゚)「……」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:48:40.39 ID:xhU6TOcP0
川 ゚ -゚)「そういえば……城にいた頃、
     ワカッテマスがそんな事を言っていたような気がする」

川 ゚ -゚)「『私は友を助けられなかった。今の技術じゃ脳を生き返させる事は不可能だ。
     彼女を奪ったモナーが、政府が、憎い』」

(;'A`)「……」

lw´‐ _‐ノv「……そもそもワカッテマスは、一体何が目的で『魔王』になったんだろう。
       その『友』を生き返らせるつもりなのか、VIPをただ破壊したいだけなのか……」

( ・∀・)「……少なくとも、『友人』を生き返らせるつもりだったなら、
     もうその人は生き返ってるだろうと思うよ」

lw´‐ _‐ノv「?」

(;'A`)「ワカッテマスの手下で、勇者を集めてた、またんきって男が、
    一度処刑されてから生き返ったらしいんだ」

(;'A`)「生き返ったと言っても……身体は腐ってたし、
    機械細胞で身体強化してたし、鈎爪が生えてたし、
    到底人間とは言えないまでに改造されてたけど」

lw´‐ _‐ノv「……勇者を集める? 機械細胞?」

( ・∀・)「何が目的かは知らないけど……。『勇者をVIPに返す』とかなんとか言ってたな。
     まぁ、絶対に無事に返してくれる訳がないだろうから、クーが返り討ちにしたけど」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:49:24.48 ID:xhU6TOcP0
川 ゚ -゚)「機械細胞というのは、ワカッテマスが開発したものだ。
     他にも、亜人細胞やらなんやら種類があるらしい」

川 ゚ -゚)「説明を聞いても私にはよく分からなかったが……。
     まぁとにかく、機械細胞を埋められると、こうなる」


 クーが左手をシュールさんに向けた。

その肌からは配線やら鉄の筒やらネジが飛び出し、
シュールさんや僕らが見ている前で『機械化』する。


lw;´‐ _‐ノv「……なるほど」

川 ゚ -゚)「皮肉なことに、戦う分には割と便利だ。
     七日七晩全身を蝕む激痛に耐える自信が無ければ、お勧めはしないがな」

lw;´‐ _‐ノv「……遠慮しとこう」

( ・∀・)「まぁとにかく……ワカッテマスの目的が分からない以上は、
     これ以上憶測を重ねても無駄だってことでいいのか?」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:50:03.86 ID:xhU6TOcP0
('A`)「まぁ……そういうことでいいんじゃないかな。
    魔王に会えば全部分かるだろうし、とりあえず今は前進するしかないと思うよ」

川 ゚ -゚)「じゃあ、すぐに発つのか?」

('A`)「モララーの肩も完治はしてないし、急がなきゃいけないのは分かるけど、
    少し休んでから行こう」


 今日はここで一泊することで話が固まり、
路上で楽器を演奏してる人たちに宿屋の場所を聞いて、
僕らは舗装された道を西へ進む。

教えられた道を進んでいくと、やがて小さな建物に行き着いた。

簡素なドアにはひっそりと、『宿場』と看板が立っている。


「いらっしゃい。勇者さま御一行なら無料だよ。何部屋だい?」

( ・∀・)「……まぁ、部屋は男女で分けるべきだよな?」

川 ゚ -゚)「別に分けなくともいいぞ。変な気を起こしたら、
     もいですり潰してお前の喉に突っ込むまでだ」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:50:46.83 ID:xhU6TOcP0
lw;´‐ _‐ノv

(;'A`)

(;・∀・)「二部屋で!! 二部屋でお願いします!!」

**********
**********

 翌朝。

別部屋にいたクーたちと昼頃に合流した僕らは、
装備品の補充のために、街の中を散策することにした。

嫌でも流れる音楽を聴きながら街を歩いていたら、
何やら賑やかな一角を見つけた。

野次馬が壁になってよく分からないけど、
どうやら男女の喧嘩が人の目を引いているようだ。


<あんたが寝坊するから間に合わなかったじゃない!

<ご、ごめんお……

<ったく、叩き起こしてくれって言ったのはどなただったかしら?!

<僕です! ご、ごめんお……。明日こそは


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:51:46.65 ID:xhU6TOcP0
 音楽を掻き消さんばかりの勢いで喧嘩している、男女の声。

若干、女の人の方が優勢なようだ。

lw´‐ _‐ノv「喧嘩か」

川 ゚ -゚)「一方的だな」

( ・∀・)「面白そうだ、ちょっと覗いてみようよ」

 喧嘩を煽る野次馬たちの仲間入りをして、人だかりの中に飛び込むと、

ξ#゚⊿゚)ξ「あんた昨日もそう言ってたじゃない!」

(;´ω`)「お……ごめんお……」

 どこかで見た男が、金髪の少女に厳しいお叱りを受けている姿があった。

あの男、たしかVIPの人……だったよな?

ここにいるってことは、勇者か。

(;'A`)「……」

 人だかりに紛れて喧嘩の様子を窺っていたら、
男が困ったようにこちらに目を向けた。

そりゃあもう、ばっちりと目が合う。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:52:25.40 ID:xhU6TOcP0
(;^ω^)「あっ、君……」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたまた話を逸らそうとして―――。……え?」

ξ゚⊿゚)ξ「なによ、あんた知り合いがいたの?」

川 ゚ -゚)「ドクオ、知り合いか?」

(;'A`)「え、いや、あの……。
    知り合…… ( ^ω^)「確か少し前にD地区で会いましたおね!」

( ^ω^)「やっぱり君もニートだったんですかお!」

 少女の説教から逃れて来た男が、僕に近付いてきた。

ちらりと男の左手を見ると、『184』の数字がうっすらと浮かんでいるのが分かる。
やっぱりこの人もニートだったのか。

( ^ω^)「あ、僕はブーンだお! ブーンでいいお!」

ξ゚⊿゚)ξ「……亜人のツンよ」

(;'A`)「あ、僕は鬱之宮ドクオです。こっちは (*・∀・)「モララーです!」

川 ゚ -゚)「クールだ」

lw´‐ _‐ノv「この前も紹介したけど、シュールです」

( ^ω^)「おっおっ! よろしくだお!」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:53:05.74 ID:xhU6TOcP0
 ブーンは嬉しそうに笑って、一人ひとりに握手をする。
モララー、クー、シュールさん、そして、僕。

左手を差し出した時、ブーンの顔が少し強張った。

僕と握手するのが嫌なのかと、少し凹んだけど、
ブーンの視線は僕の左手の甲に向けられている。

( ^ω^)「……ドクオくん達も、やっぱり魔王を倒しに行くんだおね?」

('A`)「VIPに帰る為にはそうする他ないみたいだから、そうですね」

( ^ω^)「……じゃあ、僕とツンも仲間に入れてくれないかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン?!」

( ^ω^)「僕とツンだけじゃ、多分この先は進めないと思うんだお。ダメかお?」

(;'A`)「え、あ、い、いや、全然ダメじゃないですけど」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン! 初耳よそんなの!」

 ツンがブーンを睨む。

また一方的な喧嘩が始まり、
今まで成り行きを見守っていた野次馬が、もっとやれと煽り立てた。

しばし、『話し合い』の決着を待つ。


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:53:52.72 ID:xhU6TOcP0
(#)ω^)「話が固まりましたお」

ξ゚⊿゚)ξ「ご一緒させてもらうわ。
      確かに、二人じゃ魔王に太刀打ちなんて出来ないしね」

(;'A`)「はぁ。えっとじゃあよろしk (*・∀・)「よろしくブーンにツン! 特にツン!」

(;'A`)「……」

**********
**********

 ブーンとツンが半ば流れで仲間になってくれた後も、
僕らはヒロユキ街の中を彷徨い歩く。

4回目のくだらない喧嘩ともなれば僕らも慣れたもので、
ブーンとツンのどうでもいい言い合いを、笑って眺めるだけの余裕があった。

<たけのこだってば!

<味覚障害者は黙ってろお

<ギャアアアアアアアアアアごめんなさいごめんなさい!

('A`)「(たけのことかきのことか……どっちでもいいだろ……)」

(;'A`)「……ん?」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:54:32.25 ID:xhU6TOcP0
 ブーンがツンにボッコボコにされている光景を遠巻きに眺めていたら、
ふとポケットに振動を感じた。

誰かから着信が来たらしい。

携帯を取り出して、画面を見ると、そこには『兄者』の文字が。

そういえばあの兄弟はもう、とっくにヒロユキ街に着いてるはずなんだよな。

('A`)】「―――もしもし?」

『もしもし! ドクオか?!』

(;'A`)】「そうだけど……。あれ、兄者……じゃないな。
     君、弟者?」

『そんなことどうでもいい! お前、今どこにいる?!』

(;'A`)】「ヒロユキ街だけど」

『今すぐに廃棄街に戻れ!! いいな、今すぐにだ!』

(;'A`)】「え? 何で?」

『VIPが襲撃されたらしいんだ! んで、死体がこっちに転送されて来てる!!
 お前にも家族がいるだろ?! 早く廃棄街に戻れ!!』

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:55:04.89 ID:xhU6TOcP0
(;'A`)】「……は?」

 弟者の話を聞いて、文字通り、全身から血の気が引いた。

―――なに、言ってんだよ。

VIPが襲撃されたって……。

『死体』がこっちに転送されてるって……。

ありえない……だろ?

だって、ほら、自衛軍とかが守ってくれるはずじゃないか。

(メメ^ω^)「ドクオ、浮かない顔してどうしたお?」

( A )「…………」

 顔に引っ掻き傷を作ったブーンが、笑顔で僕の肩に手を置いた。

(メメ^ω^)「お?」

( A )「……VIPが……襲撃されたらしい。
   死体が、廃棄街に転送されてるって……」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:55:54.02 ID:xhU6TOcP0
 声が震える。

音信不通になった両親や、ひとり、家に残ったメイドロボットの安否が心配でたまらない。

lw;´‐ _‐ノv「な……魔王か?!」

( A )「わからない……」

(;^ω^)「は、廃棄街……? とにかく、行ってみようお!」

(;・∀・)「……VIP襲撃?!」

 頼む。

一生のお願いとやらをここで使い切ることになっても構わない。

だから、誰も廃棄街にいないでくれ。

ξ;゚⊿゚)ξ「ほら、何してんのよ! 早く行くわよ!」

川;゚ -゚)「急ごう!」

lw;´‐ _‐ノv「くそ、何で……!」

(;^ω^)「ドクオも! 行こうお!」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:56:48.39 ID:xhU6TOcP0
 嫌な予感が止まらない。

(;・∀・)「……」

(;'A`)「……モララー……?」

(;・∀・)「……あ……うん……」

 ―――僕は、あまりにも自分の事で頭がいっぱいだった。

だから、モララーの顔色が非常に悪いことに気付かなかったんだ。

そして……

(;'A`)「(知ってる人が誰もいませんように……!!)」

 『一生分の願い』を使っても、どうにもならない事があると、思い知ったんだ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:57:21.76 ID:xhU6TOcP0


('A`)ドクオは勇者になったようです
‐12‐『音楽都市』
終了



52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:58:27.51 ID:CKzPcj+yP
っと 乙!

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 22:58:49.86 ID:xhU6TOcP0
支援ありがとうございました。

30秒規制? よく分からんけど、快適だった。

何かあったらどうぞ。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 23:00:08.45 ID:aA/hCZ0z0
乙!

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 23:00:50.25 ID:HPYHhToR0
( ^ω^)仲間加入で展開が楽しみだお!乙だお!

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/25(金) 23:04:36.13 ID:aBTS64Zk0
おつかれー

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

中編長編まとめ

Author:中編長編まとめ
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。