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<_プー゚)フエクストプラズマンの憂鬱のようです #5「欲望という名の戦車」




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:47:51.55 ID:wX54q6wN0 [2/11]
 素直ヒートが逮捕された。

 ヒーローに憧れ、いつしかヒーローに苛立つようになり、
いつしか自分自身を完全無欠の主人公だと思い込んだこの間の少女である。

 始まりはこうであった。
ドクオとフサギコ君が彼女を街中に据え置いたところ、やがて、気絶している彼女に一般市民が気づいて警察を呼んだ。

( ^Д^)「その場合はヒーロー機関じゃなくて、警察に通報するんすねー」

 まるで興味のないような口調であったが、鋭い意見であった。

 そしてこの通報者の行動から、一般市民を囮に使う方法はきわめて有効だということが容易に見通せた。
一般市民を街中に放置し、心配した市民が近寄ってきたところを、近くに身を潜めていた我々がまた襲う。
これならば芋蔓式に人質や改造被験者を増やすことができる。だが我々は善良な大衆に牙を剥くことはない。

 第一発見者の男性は少女に駆け寄り声をかけた。
反応がないので肩を揺さぶってみたりもした。

 やがて寝苦しそうに彼女が目を覚ました。
大事無いようだと安心した彼の顔が、思い切り殴られる。

 後に彼は「おれに強姦されると思ったのかもしれません。この子の行動は仕方ないです」と語っている。

 騒ぎが大きくなると、人はどんどんと集まってくる。
絶叫する少女の殴る蹴るの暴行を、身を屈めて必死に耐える男性。
声だけ聞いた人々の中には痴話喧嘩だろうかと推測するものもいただろうが、現状はそんな段階ではなかった。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:49:29.63 ID:wX54q6wN0 [3/11]
 ここで警察官が登場する。
しかし少女を見るやいなや、彼はか弱い乙女のような悲鳴をあげて後ずさった。

 少女は血走った目で警察官に視線を向けた。
標的変更の合図であると誰もがそれを理解した。

ノハ#゚⊿゚)「役に立たない公僕めいまさら何をしにきた。無能なヒーローたちを全員死刑にしろ。
      いやお前らも死刑だアタシが全てを統治するお前らは全員即刻死ね! 姉さんを
      解雇しろあんなやつなんの役に立っていないぞ家ではごろごろとしているだけだ
      あんなのよりアタシのほうがすごいに決まっている世間はなにもわかっていない
      アタシは正しいアタシが正義だどいつもこいつも全員死ねアタシだけが生きる!」

 彼女の世の中全てに対する呪詛と、怨嗟と、膨れ上がった自意識の言葉が滔々とあふれ出す。。
フサギコ君は一言一句違わずに暗記したらしい。彼は本当に優秀な人物である。
体毛の多さは暗記量に比例するのかもしれない。

ノハ#゚⊿゚)「アタシを誰だと思ってる! 素直ヒート様だぞ! 誰よりも素晴らしい存在なんだ!」

 警察官は応援を要請すると怯えきった表情で少女に対峙した。
その二秒後に警棒を奪われ頭を叩かれる。頭を抑えて蹲る。そこでの狼狽ぶりからどうやら出血したようであった。
この間も周囲の一般大衆たちは誰も手を出さず遠巻きに見守っている。中には携帯電話で撮影をしているものもいたらしい。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:50:21.59 ID:wX54q6wN0 [4/11]
 大勢の警察官に押さえつけられるまで、彼女は暴君と化していた。

 以上が私の聞いた顛末である。
始終を物陰で窺っていたフサギコ君から聞いたので事実に大きな隔たりはないはずだ。

 そうして現在、私は夕方のニュースとなった彼女を見ていた。

 テレビに映された彼女は少女Aとされていたが、フサギコ君からの情報で本名は割れている。
私が驚いたのは、いつも戦っているヒーローたちの一人の姿がテレビに映し出されていることだった。
画面には「少女Aの姉であり現役ヒーローである素直クールさん」とテロップが表示されていた。

 彼女は相変わらずの無表情で凛とした姿勢を崩さず、しっかりと受け答えをしていた。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:53:24.43 ID:wX54q6wN0 [5/11]
          <_プー゚)フエクストプラズマンの憂鬱のようです


          #5「欲望という名の戦車」

            表面だけで見るならば確かにそれらは



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:54:20.82 ID:wX54q6wN0 [6/11]
 今、104号室には私とシュールしかいなかった。
これは私が元ヒーローであったと知っているものだけである。
プギャーはどこかへと出て行った。常に微睡んでいるような彼の意識は心配であったが気がつくといなかったのだ。

 シュールが読んでいた本を閉じて私に向けて口を開いた。

lw´‐ _‐ノv「『それがどうかしたか?』はないんじゃないの」

<_プー゚)フ「それ以外にどうやって受け答えればよかったんだ。別に私は何も思ってなどいない」

 つーさんは私に疑問だけ告げると再びどこかへと出て行った。
隣の部屋に行って私の部下に相談しているかもしれない。彼女の思惑は一体なんだろうか?

<_プー゚)フ「もともといた機関と現在争っている。それはそんなにおかしなことなのか」

lw´‐ _‐ノv「もしかすると糾弾されるかも」

 シュールは含み笑いをする。私は思わず眉を下げた。

<_プー゚)フ「私に何の責任があるというんだ」

lw´‐ _‐ノv「何の責任もないよ。ただ、聞いた誰かが疑問を持つかも知れないだけだよ」

 私は腕を組んでテレビへと視線を向けた。
「少女Aの友人」とテロップが出ている。顔が隠されて変声機を使われていたが、跳ねるような話し方から女の子であろう。

「あの子はぁ、そんなことする子じゃないと思えるんですけど時々一人でいるっていうかぁ、危ない空気のときがありましたねぇ」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:56:17.01 ID:wX54q6wN0 [7/11]
 ほとんど何の要領も得ない話である。
テレビカメラを向けられていることに舞い上がっているだけであった。
インタビュー者が切り替わる。低い声と大きな体から少年であるようだった。

「彼女はよく自分の姉についての不満を言っていました。冗談のように笑いながら言っていましたが回数がとても多かったです。
 僕ら男子は彼女のお姉さんのファンだったんですよ。綺麗ですしヒーローですし、まあ僕らとしたら当然ですよね。
 ただ、彼女がこれを知ったときとても怒ったんです。正直怖かったですね。どうして! と叫んでいました」

 まともな意見を言っていることから、先ほどの少女よりも非常に長く尺がとられている。

「あんなにすごいお姉さんと二人暮らししているようですから、色々あったんでしょうね。
 姉はそんなにすごくないだとか言っていたのも、彼女が日常生活のお姉さんを知っていたからかもしれません。
 ただ――彼女は自分の劣等感に押しつぶされたんじゃないのかなあ。悲観して相手を妬み、最後には憧憬を抱いたんだと思います」

 画面がスタジオに切り替わる。
台座の向こう側に数人の男女が並んでいて今回の事件について言及していた。
彼らはわかったように慇懃無礼な態度をとる。私が何を知っているというわけではないがコメンテーターは好きではなかった。

 私は興味を無くして、シュールに外出してくると言った。
彼女はハードカバーの本を読んでいて何も言わずただ手のひらを私に向けた。
私が黒いロングコートを羽織って鏡面のサングラスをかけていることについて、彼女は何も言わなかった。

 あまりにも情報が早すぎやしないか。
素直ヒートが警察官に取り押さえられたのは今日の昼である。
平和でほとんど事件がないためニュース番組の内容が悪人についてのことであるため、無理矢理ねじ込んだのであろう。

<_プー゚)フ(それにしても早すぎる)


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:57:06.11 ID:wX54q6wN0 [8/11]
 胸中にもやもやとした気持ちがあった。
ヒーローそのものではないが、間接的にヒーローのイメージが悪くなるのは目に見えていた。
それとも、盲目である善良な一般市民たち相手であればこの事件すら踏み台にできると考えているのだろうか。

 答えのないまま街を歩く。
賑わう中心部から離れているため人には出会っていない。通報されたということはないだろう。

 通りかかった公園のベンチに、一人の知り合いを見つけた。
渦中の人物である素直クール本人であった。缶コーヒーを握り締めてため息を吐いている。

 彼女は今、無数のマスメディアにマイクを突きつけられているはずであったが、どういう訳かここにいる。
近づくほかあるまい。驚かさぬよう彼女の視界に入ってから私は悠然と歩み寄った。
素直クールはこちらに気がついたが何も動じない。相変わらずの鉄面皮であった。

川 ゚ -゚)「久しぶり」

<_プー゚)フ「ジャスティスブルーがどうしてこんなところに」

川 ゚ -゚)「私が二人いたらおかしいだろう」

<_プー゚)フ「やっぱり影武者だったのか」

川 ゚ -゚)「クローン技術かなどちらかというと。そのまんま私ってわけではないけど」

 それより、と素直クールは私を見た。上から下まで視線を走らせる。

川 ゚ -゚)「今日はヒーロー時代の服装か。フォーマルハウト」

<_プー゚)フ「実戦経験は一度もない」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:57:56.95 ID:wX54q6wN0 [9/11]
川 ゚ -゚)「戦隊を組まないヒーローは珍しい。紛れもなく正々堂々でありこれでまた人気がでるだろう、そう期待されてたのにな」

<_プー゚)フ「……私がヒーローであった。そう知るものはどれぐらいいるのだろうな」

川 ゚ -゚)「さあ? 私の戦隊では、私しか知らないと思うけど」

 私はそうかと平坦に言った。

川 ゚ -゚)「今、そっちは楽しいか?」

<_プー゚)フ「悪くはない。そっちは?」

川 ゚ -゚)「聞かなくても私の言動でわかるだろ」

 ぶっきらぼうに投げ捨てると缶コーヒーを口に運んだ。

川 ゚ -゚)「誇りがあるわけでもなく、ただ収入がいいだけで私は大衆の前できゃっきゃとはしゃぐんだ」

 冷静であり冷ややかである彼女の口から「きゃっきゃ」と言ったかわいらしいオノマトペが飛び出した。
私は思わず微笑んでしまい、素直クールは私を睨む。私は彼女の隣に腰を下ろした。

川 ゚ -゚)「好きでもなんでもないんだよ。こんな仕事」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:58:31.01 ID:wX54q6wN0 [10/11]
 立場からか愚痴を吐ける相手がいなかったためか、少しだけ知り合いであるだけの私に向けて彼女は話し出した。

 素直クールは端正な顔立ちで明晰な頭脳を持っている。
更に幅広い交流を持ち、生来の運動神経から文化部にも関わらず運動部を凌駕していた。
容姿端麗。頭脳明晰。才色兼備。フィクション上では陳腐でありふれた神様が寵愛した存在である。

 彼女の総決算は非常に高い数値を誇っていた。
それなのにも関わらず彼女は大学生四回生時に頭を抱えた。就職が決まらなかったのだ。人生の目標を彼女は見つけられなかった。
成績だけ見れば彼女よりも遥かに劣る周囲は次々に内定を手に入れていく。そんな周囲の目が彼女の焦りを増幅させる。

 「どうして内定を彼女はとれないのだろう? 実は全然優等ではなかったのではないか?」
「もしかして君は劣等ではないのか?」誰の目もそう語っていた。そんな日常から素直クールは遁走した。
耐え切れなくなった彼女は両親と盛大に喧嘩をして無理矢理ここに引っ越してきた。そうして初めてヒーローと悪人の存在を知る。

 妹である素直ヒートも彼女に一緒についてきた。受験生であった彼女曰く「こっちに進学希望校がある」らしい。
私の推測に過ぎないがこの頃の素直ヒートはまだ夢見る活発な少女であったはずなのだ。二人は仲の良い姉妹であったのだと思う。

 そうして彼女がヒーローという職業を知った翌日、素直クールはヒーロー機関にスカウトされた。
深く考えず彼女は即答した。どうせやりたいことなどなく社会的に地位を築いてきている機関であったので考える理由などなかったのだ。
そうして訓練を経て彼女はめでたく協会の一人に名を連ねた。両親に報告すると彼らはあっさりと手のひらを返した。

川 ゚ -゚)「今有名なヒーローですって! やっぱりクーちゃんはすごいわね!
      なんて言ってきた。それほどまでに私は心配されていたらしい」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:59:11.00 ID:wX54q6wN0 [11/11]
 素直クールは職を手に入れたにも関わらず安心は全く得られなかった。不安だけがいつも心の奥底で在住している。

川 ゚ -゚)「いくら優れた性能でも結果を出さなきゃ誰も認めてくれないんだ。ただわめいていても一緒なんだ。
      口でわめきちらして周りから疎まれてからかわれて、飽きられてありもしない自分を作り出す。
      そんな、周囲から軽く見られる嘲笑された人生なんて絶対にごめんだ」

 私は一人の少女を想起した。

川 ゚ -゚)「……ヒートは、その過程だったんだろうな」

 しばらく沈黙が我々の間を支配する。

<_プー゚)フ「仕事は好きか?」

川 ゚ -゚)「何度言わせるんだ。好きでもなんでもないよ。強制された日課みたいなものだ」

<_プー゚)フ「辞めればいい」

川 ゚ -゚)「……できないな。きっとできない。どうしてやめたのかしつこく追求されるに決まってる」

<_プー゚)フ「どこかへと行けばいい」

川 ゚ -゚)「どこかって?」

<_プー゚)フ「ヒーロー支部のないところ。たくさんあるだろう」

川 ゚ -゚)「……」

<_プー゚)フ「西の中心部と、ここ東の中心部。力を持った大きな支部なんてこの二つくらいだ。
        ――何故か、悪人も居ないだろう?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:00:42.27 ID:oXgLU7vY0 [1/2]
 私は皮肉めいた口調で言ってくつくつと笑った。
素直クールは驚いて私を見上げた。視線が合う。

川 ゚ -゚)「なあ、私たちの協会はどうなっているんだ?」

<_プー゚)フ「それを駆逐すべき悪人に問うのか」

 私は大声で笑ってしまった。彼女は俯いて何も言わない。

 笑いが収まってきたので私は一つだけ素直クールに告げることにした。

<_プー゚)フ「誰が正しいかなんてわからないさ」

 私は立ち上がり彼女に背を向ける。
日が沈んできておりそろそろみんな帰ってきている頃であろう。ビコーズの料理が楽しみであった。

 帰り道、私はヒーローに追われていた。
姿を霧状に変えればよかったのだ! 心の中で悪態をつきながら思い切り足を動かす。
変身するには時間が足りない。行為の間に後ろの四人に捕まってしまうだろう。

「悪人だー! ひえー!」

 騒ぎのためか見かける一般大衆が多くなってきた。彼らは皆同様の反応をとる。
やれやれ。私が元々彼らを守るべき存在であったことなんて、市民は誰も覚えてはいない。
異様な外見とヒーローと争ったことのある経歴だけで私はもう悪人扱いなのである。善良な我々だって存在するというのに。

 協会は全てを蹂躙しつくす強固な塊であった。


 #5 「欲望と言う名の戦車」 終わり

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:01:54.98 ID:oXgLU7vY0 [2/2]
終わりです。短いですね。日付もかわりましたね。
色々と面倒臭そうな出来事が続いていますが、なんとかなれと思います。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:12:51.19 ID:togZ9ZTX0
乙。面白いです。頑張ってくれ。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:21:04.86 ID:zDhBNIGk0
支援する間も無かったw乙

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:25:19.47 ID:01iuytEQO
気づかぬうちに来てたか乙
読んでくる

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/18(水) 00:30:44.97 ID:oNp8nTO/P

待ってる作品の一つだ 珍しい作品だから楽しみだよ

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/18(水) 00:54:56.95 ID:OAl9XMvE0
ブルハ ハイロ好きだな

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