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川 ゚ -゚)天気は彼女に左右されるようです ‐1‐『雨天』



3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:24:13.74 ID:7BM7OEF9O [2/20]
 「―――あぁ、今日もお天道さまはご機嫌ななめだな……」

 「そっか……。毎日まいにち雨じゃあ、こっちの気も滅入っちまうってもんだよ」

 「……そうだな」

 「……死ぬ前に……お天道様の光を、めいっぱい浴びたかったなぁ」

 「…………」

 「『空女』サマは…今日も泣いてンだねぇ……」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:25:09.46 ID:7BM7OEF9O [3/20]
川 ゚ -゚)天気は彼女に左右されるようです

‐1‐『雨天』


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:28:04.55 ID:7BM7OEF9O [4/20]
 ('A`)「―――最近いろんな所で聞くが、『空女』ってのは一体何なんだ?」

 (*゚ー゚)「あら、ご存知ないので?」

 (*゚ー゚)「『女が笑えば、お天道様が顔を出す。女が泣けば、天が泣く』と、巷で噂の娘でございますよ」

 (*゚ー゚)「髪は烏の濡れ羽色、肌は雪の如き白さ。その美しさたるや、この世のものではないとか」

 (*゚ー゚)「ですが、人を喰らう、恐ろしい鬼女だとも聞きますねェ」

 (;'A`)「何だィ、そりゃあ。まるで意味が分からないぞ」

 (*゚ー゚)「所詮は噂ですからね……。噂なんて、でたらめなものですよ」

 ('A`)「ほう。ま、話半分に聞いとけってこったな」

 (*゚ー゚)「はい。嘘か真かは、わたくしも知りませんし、多分、この村の全員に聞いてみたって、答えは分からぬままでしょう」

 (*゚ー゚)「ですが」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:29:54.25 ID:7BM7OEF9O [5/20]
 (*゚ー゚)「もしその噂が真であれば、その『空女』様」

 (*゚ー゚)「ずいぶん長いこと、泣いていらっしゃるようでございますね」

 ('A`)「そうだなァ……。……なるほど。ありがとうな、しぃ」

 (*゚ー゚)「ふふ、今度は噂じゃなく、何か買ってくださると嬉しいんですけれどねぇ」

 (;'A`)「ああ、悪いな。また今度、客として来るよ」


 ―――これは、昔むかしの話でね。

呉服屋の看板娘が云った、『空女』の噂の真偽は、今となっちゃあ、誰も知らないんだ。


 ('A`)「じゃあ、そろそろおいとまするよ」

 (*゚ー゚)「今日もぬかるんでいます。足元にお気をつけて」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:32:36.92 ID:7BM7OEF9O [6/20]
 それは、ある雨の昼下がり。

呉服屋の店先から出てきたる長身の男がいてね。

姓を鬱谷、名を独男と云うんだが、こいつがまた、不細工で

世界中の不幸を一身に背負った、みてぇなツラをしてるのよ。

そんなんだから、女にゃ滅法もてなかった。

一部の男にゃ妙な人気があったそうだけども、
まぁそれはどうでもいい事さね。


 ('A`)「……『空女』」


 『女が笑えば、お天道様が顔を出す。女が泣けば、天も泣く』

胡散臭い話だろう?

普通ならこんな、意味の分からない話は『噂』として片付けるべきなんだがねェ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:34:19.06 ID:7BM7OEF9O [7/20]
 ('A`)「ちょいと捜してみるかね」


 独男は、信じるしかなかったのさ。

藁だろうと、蜘蛛の糸だろうと、縋りたい理由があったんだ。

噂の上でしかない『空女』がいると信じ、それを捜すために、
苦労する覚悟すら厭わないくらいの理由があった。


 ('A`)「しぃの話によりゃあ、『空女』は絶世の美人だと云う」

 ('A`)「そんな娘がいたなら、この村で噂にならない筈がねェ。だから、この村にゃいないンだろう」

 ('A`)「よし、こんな時は―――アイツに話を聞きに行くとするかね」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:35:33.38 ID:7BM7OEF9O [8/20]
 独男が向かった先は、とあるお屋敷だ。

庭にゃ大層ご立派な松。

池にゃ大きく成長した鯉がいてね。

こう言うのもなんだが、独男なんかが足を運んで良い場所じゃあない。

だが、独男は構わずに屋敷へ入って、叫んだんだ。


 ('A`)「おぉい、いるかい内藤!!」

 ( ^ω^)「おぉ、独男じゃないかお! 遊びに来たのかお?」


 独男が呼んだ男は、ここらじゃ名の知れた地主さんで。

村民や、どこぞの殿様からは、『内藤の旦那』、と、親しまれているとかいないとか。


 ('A`)「いんや、今日はちょいと聞きたい事があってな」

 ( ^ω^)「?」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:37:44.14 ID:7BM7OEF9O [9/20]
 ('A`)「おめェさん、『空女』ってのを聞いたことはあるか?」

 ( ^ω^)「『空女』……」

 ( ^ω^)「あァ、あるお、あるお」

 ( ^ω^)「ひとに馴染めず、人ならざるものにも成れなかった、哀れな娘だと聞いた覚えがあるお」

 ('A`)「人でもなく、人じゃないものでもない?」

 ('A`)「じゃあ、その空女ってのァ一体何なんだ?」

 ( ^ω^)「『死ぬことも叶わず、老いることも出来ず、迫害されるだけの娘だ』と」

 ( ^ω^)「深い業を背負い、地獄よりも辛い思いを、未来永劫味わい続ける、哀れな娘だと聞いたお」

 (;'A`)「何でまた、そんな恐ろしい事をしちまったのかね……」

 (;'A`)「なんとも可哀相な話だな……。じゃあ、……その『空女』が、どこにいるかは知らないか?」

 ( ^ω^)「さすがに、場所までは僕も知らないお」

 ('A`)「だよなァ……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:39:06.30 ID:7BM7OEF9O [10/20]
 ( ^ω^)「―――ただ、『空女』に関係するかしないかは分からんが、ちょいと耳寄りの情報があるお」


 内藤の旦那は、悪戯っ子のように笑いながら独男に顔を寄せ、言った。


 「この村から東へ三里ほど行った山に、女が啜り泣く声が聞こえる場所がある」

 「それが鬼女か幽霊か、はたまたお前が捜す『空女』かは、だァれも知らない」

 「だけど、捜しに行く理由としては上々だろう?」

 「―――『空女』にゃ笑ってもらわないと、僕もお前も困るンだから」


  *****

*****

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:41:05.59 ID:7BM7OEF9O [11/20]
('A`)「えぇと、内藤が云ってた山ってのァこれでいいのかね?」


 内藤の旦那から話を聞いた独男は、早速東へ向かった。

ゆっくりと山を登りはじめたはいいが、
何分、独男はひょろいばかりで体力が無いもんだから、直ぐにへばっちまってね。

『啜り泣く声』ってのも聞こえないし、途方に暮れて、座り込んじまったのさ。


 (;'A`)「ふう、ふう、疲れた。慣れねぇ事はするもんじゃあねェな」

 (;'A`)「しっかし、後先考えずに山を登って来たけど、本当に『啜り泣く声』なんて聞こえるのかねェ?」

 (;'A`)「もう少し調べるべきだったか……」


 ごろりと寝転んだ独男は、疲れきっててね。

いけねェいけねェと思いつつ、でも、誰だって睡魔にゃ逆らえんわな。

山のど真ン中で、高鼾をかいて、眠りはじめちまった。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:43:24.00 ID:7BM7OEF9O [12/20]
 (ぅA`)「…………」

 (;゚A゚)そ「いっけねェ! 寝ちまった!!」


 結局、独男が目を覚ましたのは、お月さんが昇りきった頃だ。

こりゃ大変だと独男は飛び起きて、来た道を戻ろうとしたんだが、


 (;'A`)「あれ、こんな場所、来るときに見てないぞ」


 どうやら、完璧に迷っちまったようでね。

明かりもなく、近くにゃ民家もなく、独男はとにかく慌ててねぇ。

同じ場所を行きつ戻りつしていたら、聞こえてきたのさ。


 「……ヒック……」

 「ック……ヒック……」


 女の、『啜り泣く声』が。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:45:05.45 ID:7BM7OEF9O [13/20]
 その声は、ひどく幽かなものだった。

きっと、この声のことを、内藤の旦那は云っていたんだろうねぇ。


 (;'A`)「どこだ? どこにいる?」


 声を捜して、夜闇の中を歩いて行くと、
岩肌の途中に洞穴があって、声は、そっから聞こえて来る。

女の、悲しげな嗚咽が、聞こえて来るんだ。


 (;'A`)「……もし、誰かいるか?」


 独男は洞穴の奥へ、話し掛けた。

啜り泣く声が、ぴったりと止まったが、
そこに潜むのが『空女』かどうかは知れぬまま。

もしも鬼女ならば、独男が逃げ切る術はなし。

一種の博打のようであるけれども、
それでも独男は、洞穴の奥へ進んだのさ。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:46:53.84 ID:7BM7OEF9O [14/20]
 「―――誰、か、いる?」


 返ってきた声は、鈴の音のような、美しいものでさァ。

やはりここに潜むは『空女』だと、独男も安心したんだ。


 ('A`)「あァ、『空女』に用があって、来た」

 ('A`)「お前さんが『空女』で、いいンだよな?」

 「……そう、呼ばれるのも、久しい……」

 「どこの人かは知らないけども……アンタがここまでやって来た理由は、……解る」

 「―――私に泣き止めと……。笑えと、……そう言いに来たのだろ?」

 ('A`)「察しがいいねェ。昔っから、俺みたいな理由でアンタを訪ねてくる奴がいたのかい?」

 「……ああ……」

 ('A`)「そうか……」

 ('A`)「……でも、用件が分かっているのなら話が早い」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:48:14.10 ID:7BM7OEF9O [15/20]
 ('A`)「今直ぐに、アンタに笑って欲しいんだ。笑ってくれなきゃ困るンだ」

 「……それは、出来ないんだ……」

 ('A`)「出来ない? 何でまた」

 「無理やりに笑おうとしても、涙が止まらないんだ。私は、もう、笑えない」


 そう答えた空女は、またぐずぐずと泣きはじめちまった。

こりゃあ根が深いと、独男も少し困ったよ。

女を慰める方法なんざ、とんと思い付かないからねぇ。

でも、何かかけてやれる言葉はあるはずさ。


 ('A`)「えーと……」

 ('A`)「そう慌てずとも、ゆっくり笑えるようになりゃあいい」

 ('A`)「とりあえず、明日また来るよ。アンタの名を教えてくれないか?」

 「……空(くう)」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:50:47.61 ID:7BM7OEF9O [16/20]
 ('A`)「くう、か。いい名じゃあないか。俺は独男だ」

 ('A`)「また明日、昼のうちに、来るからさ」

 ('A`)「アンタの話、聞かせてくれな」

 「…………」


 『空女』こと空(くう)は、押し黙ったまんま。

独男は結局、『空女』のお姿を見ないまんま、
えっちらおっちら山を下りていった。

その細い後ろ姿を、洞穴から遠巻きに見ていた空(くう)は、
そっと着物の袖口で、涙を拭ったそうだ。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:52:15.34 ID:7BM7OEF9O [17/20]

  ―――独男が『空女』と会った、その日は、

―――珍しく雨が降らなかったそうな。




26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:53:06.40 ID:7BM7OEF9O [18/20]


川 ゚ -゚)天気は彼女に左右されるようです
‐1‐『雨天』


終了

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:55:24.15 ID:7BM7OEF9O [19/20]


せっかくスレを立ててもらったのにっ……!!

本当に短くてすいませんッ……!!

支援ありがとうございました!

多分、この話は2、3話で終わりです。

多分。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 21:56:55.30 ID:RPqub5imO [6/6]
乙!!

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/08/27(金) 21:59:49.07 ID:DaaHR19F0 [4/4]
おつおつ、続き楽しみにしてる!

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/27(金) 22:43:50.67 ID:uyB5j/Hw0
乙。面白いな

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