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( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです 第十二話「驚愕」

2 名前: ◆6ZgdRxmC/6 :2010/12/15(水) 23:39:02.37 ID:8msdd8OP0
でてきたでてきたでてきたよ
ほ~ら、でてきた

まとめサイト

文丸さん
ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/cellular_phone/cellular_phone.htm

内藤生活さん
ttp://naitoutekiseikatu.blog31.fc2.com/

さあでてこいのおじさんのお話の時間だよ

いや、うん。ちょっとなつかしくって、うろおぼえだけど、うん。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:40:29.48 ID:8msdd8OP0

廃工場内では、激しい戦闘が繰り広げられていた。

戦っているのは、二人と一体。

(#・∀・) あああああああああ!!!!

一人は、全身に赤い幾何学模様を光らせる少年。

川#゚ -゚) ハア!!

もう一人は、赤い光の刀を振るう少女。

そして、迎え撃つのは―――

〔(Ω)〕 けッ、甘っちょろいんだよ、てめェらの攻撃は!!

―――全身から赤い光を放つ、TASIROたちの『王』


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:41:25.39 ID:8msdd8OP0

ばちっ、という音が工場内に響く。
それと同時に、赤い光の『壁』に弾かれた少年と少女が、工場の床に転がった。

〔(Ω)〕(ああ、クソっ、胸がうずきやがる……!!)

床に転がってなお、こちらを睨みつけてくる少年少女を見下ろしながら、
オメガは、先ほど自分が倒した少年に蹴られた胸を軽く撫でた。

オメガは今、彼の体にある全てのセキラを、沈静してしまわない程度に活性化させていた。
全ては、先ほど自分が倒した……いや、自分に向かってきた少年を見て、
自分がいかに人間を侮っていたか、思い知らされたからだ。

〔(Ω)〕(このオレが、油断してたとはいえ一撃を食らうとはな……)

目の前にいる少年少女たちが、いかに”外のやつら”と違うと言えど、
『王』たる自分が一撃を食らうということは、彼にとってあまりに予想外のことだった。

〔(Ω)〕(『人間』……こいつらには、なんつーか『不確定要素』がある、
     それが何なのかってことによっちゃ、”オレたち”をこいつらに預けても……)

そこまで考えて、彼は首を左右に振った。

〔(Ω)〕(どの道、それはオレを倒せたらの話だ!!)

体勢を立て直し、こちらに向かってくる少女に向けて、
オメガは活性化させたセキラを溜め込んだ腕を放つ。

川#゚ -゚) ―――!!


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:43:35.83 ID:8msdd8OP0
( ・∀・) させないよ!!

がん、という音と友に、彼の右腕が少年のクロスさせた両腕に阻まれる。

〔(Ω)〕 ッち、またてめェか

川#゚ -゚) 余計な真似をするなモララアアアア!!

自分の盾になった少年を押しのけ、少女がその手に持つ刀でオメガに斬りつける。
一閃、二閃、三閃。目にも留まらぬ速さで繰り出される連撃。
しかし、それはオメガの活性化したセキラの鎧に阻まれてしまう。

(;・∀・) ちょ、落ち着いてくださいよクー先輩!! 今のこいつには―――

川#゚ -゚) わかってる!! ちょっと黙れ!!!

少年の制止を振り切り、ひたすら自分に斬りつけてくる少女に、
オメガはその右腕を振るい、活性化させたセキラを衝撃波として彼女に放った。
再び吹き飛ばされ、受身を取る少女。
オメガは彼女を無視し、この隙を突いて攻撃してくるであろう少年の方に左拳を振るう。
ばちっ、という音。

( ・∀・) はぁ、やっぱ当たらない、か

〔(Ω)〕 ……あの娘、一体何がしてェんだ?

自分の左拳に、右足を当てた状態の少年に、オメガは訊ねる。
それに対し、少年は右足を引き、左拳でオメガの顔を狙いながら答えた。

( ・∀・) キミたちには分からないさ

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:45:06.27 ID:8msdd8OP0
〔(Ω)〕 オレたちには分からねェ……? はっ、バカにすんのもいい加減にしとけよ、人間

向かってくる少年の左拳を、オメガは右拳で受け止める。
転瞬、ばちりという音と友に少年の左腕を包むセキラが爆ぜた。

(;・∀・) くッ、セキラの量じゃ敵わないか、やっぱり

少年がバックステップで飛びのく、それに対して、オメガは左腕を振るい
活性化したセキラを衝撃波として放ち彼を追撃する。

〔(Ω)〕 ”オレたち”の演算機能はてめェらの脳みそなんざ比べ物になんねえくらい高性能なんだぜ?

尻餅をつき、立ち上がろうとする少年に、さらに追い討ちをかけようとするオメガ。
しかし、右側から体当たりをしかけてくる少女がそれを許さない。

〔(Ω)〕 ッ、だからてめえは一体何がしてェんだ!!!

うっとおしい少女を振り払おうとするオメガに、少女は吼えた。

川#゚ -゚) 知るか!!

〔(Ω)〕 はァ!!?

川#゚ -゚) 私は、私が何をしたいかなんてわからん!!
     でも、今はこうするしかない、こうやって暴れていないと、
     私は、きっと私を保てん!!!

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:55:48.95 ID:8msdd8OP0

意味が分からない、と、オメガは自分に斬りかかってくる少女を見る。

川#゚ -゚)

その目は、怒りに満ちていた。
もちろん、オメガには人間のような”感性”は無い。
ただ、自分の中のデータから、それが怒っている表情だと理解しただけだ。

川#゚ -゚) 私は、自分が許せない。暴走する後輩を止められなかった自分が、
     いや、この私がついていながら、目の前で人を傷つけさせてしまったという事実が!!

縦一閃に斬りかかってくる彼女の切っ先を、オメガは右の掌で受け止め、握り潰す。

〔(Ω)〕(……つまりこいつは、オレに攻撃が当たらないのを理解したうえで斬りかかって来ていると?)

わからない、と彼は思う。
いくら斬りかかってきても、彼女の刀では自分のセキラの鎧を切り裂くことはできない。
それが分かっていて、圧倒的な力の差があるのも理解していて、それでも自分に向かってくる、彼女。

川# - ) が……ァ……!!

刀を握り潰され、自分の回し蹴りをまともに食らって吹き飛んだ彼女の姿を見ながら、オメガは考える。

分からない、人間とはなんだ?


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:56:45.81 ID:8msdd8OP0
(;・∀・) 先輩!!

叫びながらも、自分に飛び込んでくる少年。
先ほど自分が倒した少年や、向かってきた少女。
彼の足元にも及ばなかった、外の人間たち。

それら全てが、人間。

分からないことが多すぎるが、しかし、ひとつだけ分かることがある。

こいつらは、あまりに不安定で、そして多様すぎる。

こんな存在では、自分を倒すことは万に一つもありえない。

(#・∀・) ハアアアアアアアアア!!!

〔(Ω)〕 ……ふん

連続して攻撃を放ってくる、目の前の少年。
他のやつらと比べれば、圧倒的に早く、威力も強大な彼の攻撃だが、
それでも自分に対しては一歩及ばない。

何度も何度もぶつかり合う、オメガと少年の拳。
当然お互いにダメージを受けるが、威力の上で劣っている少年の受けるダメージのほうが、
オメガに比べ圧倒的に多い。

(; ∀ ) くっ……!!

ダメージの蓄積された少年の体が膝を付くまで、そう時間は掛からなかった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:58:16.95 ID:8msdd8OP0

オメガは、改めて目の前の二人を見る。

一人は腹を抱えうずくまり、それでも自分を睨みつけてくる少女。

川#゚ -゚)

相当なダメージを受けているはずにもかかわらず、彼女の手には
相変わらず赤い光の刀が握られたままだ。

もう一人は膝を付き、何を考えているのかわからない表情でこちらを見てくる少年。

(#・∀・)

彼の体には、全身を覆う赤い光の幾何学模様。
活性化させた自分たちを、全身に循環させるというこの戦法は、
なるほど人間にしてはよく考えたと思うが、しかしやはり自分の強さには及ばない。

オメガは、『判断』する。

目の前の二人を見る限り、人間というのもそれなりに”強い”らしい。

―――ただ、所詮は『それなり』だ。

自分たちを安心して任せられる存在としては、人間はあまりに頼りなさ過ぎる。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:59:17.17 ID:8msdd8OP0

〔(Ω)〕 まあ、誇りにおもうがいいさ。お前らはそれなりに頑張った。
     ―――ま、それだけだけどな

両腕のセキラを活性化。
それと同時に一歩、また一歩と迷彩色のTASIROは目の前の二人に近づいていく。

〔(Ω)〕 所詮、人間ってなァ”オレたち”を任せる存在にはなりえなかった

彼ら二人を倒した後には、全人類を自分が管理し、
せいぜい幸せな生活を送らせてやるとしよう。
まあそれも自分たちが回収されるまでのことだ。

―――それが何百年、何千年後になるかは、知ったことではないが

〔(Ω)〕 てめえらの敗北が、その『証明』だ

両腕を限界まで振りかぶる。
右腕を少女に、左腕を少年に。

攻撃が終わったとき、彼らの姿は影も形も残らないだろう。

そう思った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:00:27.96 ID:1NzpO2A10
ごお、という爆音。
周囲の空間が赤い光と、熱と、衝撃に破壊される。

〔(Ω)〕 あ?

砂煙が晴れた。そこにはもちろん少年少女の姿はない。
しかし、なにか違和感があった。

オメガが攻撃を放つ、ほんの一瞬前。
彼のカメラアイが何か妙なものを捕らえた気がしたのだ。

0,2秒の時間を使って、そのときのデータを解析。
そこに映っていたのは―――

('Aナ) よお

―――左目に傷がある、野球帽の少年が、
自分よりも大きい少年少女を抱えて飛んでいく映像だった。

〔(Ω)〕 なんだ、てめえは

警戒しながら訊ねるオメガに、野球帽の少年はただ一言、言った。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:01:22.80 ID:1NzpO2A10








('Aナ) ヒーロー見参、ってな










13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:02:18.66 ID:1NzpO2A10





     ( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
             第十二話「驚愕」






14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:11:24.18 ID:1NzpO2A10
( ・∀・) ふん、いいタイミングで現れるじゃない

野球帽の少年の脇に抱えられたモララーはにやりと微笑んだ。

よかった、どうやら自分はまだ生きている。
いや……それがはたして”よかった”のかは、自分にもわからないけれど。

('Aナ) ったく、何これ……あんたら”こうなるの”を止めに行ったんじゃねーの?

川#゚ -゚) うるさい、誰にだって失敗はあるッ!!

(;'Aナ) 堂々ということかそれ……

どさり、という音を立てて両脇に抱えられた二人が下ろされる。
随分とぞんざいな扱いを受けた二人の目線が、自然とドクオの顔へ行った。

川;゚ -゚) ドクオ……その顔、どうした!?

(;-Aナ) あ、これ? これは……まあその

目を逸らし、もごもごとしているドクオ。
その姿を見ていたクーは、年上の女性らしい落ち着いた声で、聞いた。

川 ゚ -゚) ……ジョルジュか

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:12:25.33 ID:1NzpO2A10
(;-Aナ) う……

図星をつかれたのだろう、彼はうめくような声を上げて頬をぽりぽりとかく。
クーはその様子を黙って見ていたが、やがて立ち上がると、目の前の敵に向かって剣を構えた。

川 ゚ -゚) いい。今言いたくないなら、言う必要はない

('Aナ) クー……

川 ゚ -゚) その代わり、後でちゃんと聞きだしてやるからな。覚悟しておけ

「やっぱそうなるのか」と肩を落とすドクオ。
それを横目に見ながら、モララーも敵に目を向け、戦闘体勢をとる。

『王』の前に立つのは、それぞれの戦闘体勢をとる少年少女たち。数は三人。

一人は、赤い光の刀を持つ少女。

川 ゚ -゚)

一人は、全身に幾何学模様を走らせた少年。

( ・∀・)

そして、最後に黒いゲーム機を下腹部に装着した、野球帽の少年。

('Aナ)

〔(Ω)〕 けッ……死ぬ前のお別れのあいさつはすんだかてめェら?

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:17:57.14 ID:1NzpO2A10
吐き捨てるように言うオメガに、モララーは言った。

( ・∀・) わざわざ待っててくれるなんて、結構優しいところもあるじゃない

〔(Ω)〕 ふん、さっきの善戦を称えての、オレからのせめてもの敬意だよ

言いながらゆっくりと振りかぶるオメガの右腕には、
ばちばちと音を立てながら活性化したセキラが集まっていく。

('Aナ) 随分と余裕があるみたいだけど。さっきまでとは状況が違うぞ? 俺がいる

気が付けば、いつの間にかドクオがオメガの右側に移動していた。
よく見ると、その右足のすねの部分には一つの赤い携帯電話が装着されている

―Form Change:「Mighty Fighter」―

〔(Ω)〕 ふん、人間が一人増えたくらい、なんの問題もねえ

('Aナ) 自信があるのは結構だけどさ。敵を舐めるてると、痛い目みるぜ?

ドクオの右足と、オメガの右拳が激突する。あたりに放たれる、真っ赤な衝撃波。
長い間放置されていた工場の床の埃が舞い上がり、それに赤い光が反射してきらきらと輝く。
その中を駆け抜けていく、影が一つ。

川#゚ -゚) ドクオの言う通りだ

〔(Ω)〕 !?

すれ違いざまにオメガの右脇腹を斬りつけるクー。
その刃は、オメガを覆うセキラの鎧を切り裂き、彼のボディに傷をつけた。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:18:47.92 ID:1NzpO2A10
川#゚ -゚) まったく、ようやくちょっと冷静になったぞ

なるほど、とモララーは思った。
オメガが攻撃を放つとき、一瞬ではあるが活性化したセキラが攻撃を放つ部位に集中する。
つまり、その分彼の体を覆うセキラの鎧は薄くなるのだ

( ・∀・)(狙うならその瞬間、ってことだね)

幸い、こちらにはドクオという相手の攻撃をひきつけるには持ってこいの人材がいる
自分より年下の少年にその役を任せるというのはなんだか気が引けなくも無いが
こちら側に決定的な打撃を与えられる者が自分しか居ないのだからしかたがないだろう。

状況を把握し終えたモララーの体が、オメガに向かって飛ぶ。
足に循環させているセキラを少し活性化させ、強化した彼の足は
常人の目には捕らえられないほどの速さを生み出す。

〔(Ω)〕 な……!!

ドクオの蹴りとクーの斬撃を、セキラを活性化させた両手で受け止めていた彼の腹に、
沈静化するギリギリのラインに活性化させたセキラを纏ったモララーの拳が突き刺さる。

後方に吹き飛ぶオメガの体。砂煙を巻き上げながら着地する彼を
ドクオの飛び蹴りと、クーの下段突きが追撃する。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:19:36.89 ID:1NzpO2A10

川;゚ -゚) !!! ('Aナ;)

ごん、という音と友に空気が、そしてそれを内包する空間が爆ぜる。
オメガを中心として円周状に放たれるのは、赤い電流を帯びた衝撃波。

吹き飛ばされたクーとドクオが、床に片手を付き、その場で踏ん張る。
そうでもしないと吹き飛ばされてしまいそうなほど、
その衝撃波の威力はすさまじいものだった。

(;-∀⊂) くっ……!!

足に回しているセキラの性質を”粘着質”なものへと変え、
モララーもなんとかその場にとどまる。
閃光と、飛んでくる砂煙で視界が遮られ、そして次に目を開けたとき―――

〔(Ω)〕 てめェらに、最後のチャンスをやるよ

―――そこには、全身に赤い雷の衣を纏った『王』が立っていた。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:20:48.60 ID:1NzpO2A10
全身に纏ったセキラを、完全に活性化させているのだろう。
赤く輝くそれが、彼の背に炎のようなシルエットを浮かび上がらせ、
ばちり、ばちりと音を立てて爆ぜている。

〔(Ω)〕 この通り、今オレは全身の”オレたち”を限界まで活性化させている
     もちろんこの状態は長くはもたねえ、まあ大して支障は無いけどな
     この状態でお前らを倒すのにかかる時間は―――

(; ∀ )川; - ) !!? ( A ;)

〔(Ω)〕 ―――1秒あっても、長すぎるくれェだ

まったく何が起こったのか理解できなかった。
『王』の攻撃は、その隙すら彼らに与えてくれなかったのだ。

気付けば三人は全く同じ方向、同じ位置に向かって吹き飛ばされていた。

(;・∀・) ああもう、もはや反則でしょ、キミの存在が!!

ドクオとクーのわずかに前方を飛んでいたモララーが受身を取って立ち上がり両手を広げる。
自分の左右に飛んでいこうとしている二人を、受け止めるためである。
右手に少年が、左手に少女がぶつかる。
モララーが自分の倒れる力を利用してうまく後ろに衝撃を逃がし、
そのまま三人は転がるようにして地面を滑り、そして立ち上がった。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:28:23.97 ID:1NzpO2A10
次の攻撃に備え構えを取ったクーが文句を言う。

川#゚ -゚) 女性は、特にこの私にあたってはもっと丁寧に扱え、モララー

( ・∀・) すみません、先輩の体重が予想以上に重かったもんで

川#゚ -゚) なッ!!? わ、私は重くなど……

(;'Aナ) 昨日の晩飯、ステーキだったよな……

川#゚ -゚) そ、そうか、アレの性か!! つまり悪いのはお前だ、ドクオ!

(;'Aナ) な、なんでそうなるの!!?

川#゚ -゚) そのステーキを用意したのはお前だろう!! つまり間接的にお前が悪い!!

(;-Aナ) うまいうまいって俺の分まで食いやがったクセに、よく言うよ……

川#゚ -゚)キッ なんか言ったか!!?

(Aナ;)ナンデモナイデス

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:29:26.48 ID:1NzpO2A10
( ・∀・) さて、さっきに続いてこの漫才まで待ってくれてるなんて、本当に優しいね『王様』?

戦闘体勢を取るモララーが、先ほどから攻めてこない敵を挑発する。

セキラをあそこまで活性化させてしまったら、
いくら大量のセキラを有している相手でもいずれは沈静化してしまう。
つまりこちらに付き合うだけ、不利になるのはオメガのほうなのだ。

一体何をたくらんでいる?

〔(Ω)〕 いや、ちょっと考えてただけだ。
     ……つくづくわかんねえもんだな、人間ってのはよ

どこか深刻な口調でそう答えるオメガは、顎に手をやり、そして一つ質問をした。

〔(Ω)〕 最後にひとつ訊いときてえ、てめェらは、なんで戦ってるんだ?

この場に似つかわしくない、敵意のまったくない調子の『王』の声。
突然雰囲気の変わった彼の言葉に、モララーは何を言われたのか分からず、まぬけな声をあげる

( ・∀・) は?

〔(Ω)〕 実体の無ぇ”オレ”らならまだしも、肉体を持ったてめえらにしてみたら
     この戦いはまさにてめえの存在をかけた、命がけのものなんじゃねーのか?
     自らの存在を賭して、それでもまだてめえらが戦う理由ってのに、
     ちょっと興味が沸いたんだよ

始めは手の込んだ罠なのか、と思った。しかし、すぐにその考えは消える。
あれだけ圧倒的な力を持っている相手なのだ、
こちらに対してわざわざ小細工をする理由が見当たらない。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:33:12.91 ID:1NzpO2A10

その問いかけに始めに応えたのは、この場でもっとも年長者のクーだった。

川 ゚ -゚) ……私は、守りたい。私のまわりにいる人たちの、なんでもない日常を

刀の切っ先を相手に向け、しかし、先程よりはいくらか敵意の薄れた声でクーは言った。

〔(Ω)〕 日常? はッ、じゃあ聞くがてめえの言うその日常ってヤツの定義はなんだ?

バカにしているような、戸惑っているような、そんな口調で訊ねるオメガに、
クーは落ち着いた声で、しかしはっきりと答えた。

川 ゚ -゚) それは、”その人たちがそうだと思っているもの”のことだ

〔(Ω)〕 ……

クーの答えに、オメガは無言。その様子は、何かを考えているというより、
ただ想像以上にあっさりと答えられすぎてしまって困っているという感じだった。

川 ゚ -゚) 人間は、日常に依存して生きている。
     誰でも、それに気付かないうちに、それがなくては生きられなくなっている。
     でも、それは案外あっさりと崩されてしまう。
     理不尽で、不条理。少なくとも私の人生はそうだった。
     だから、せめて守りたいのだ。私の周りにいる人たちの分くらいは

一気に喋った分の息を、話し終えた彼女はすっ、と吸い込む。

川 ゚ -゚) だから、私はお前たちと戦う。お前たちに日常を奪われる誰かから、日常を守る

刀をオメガに向ける彼女の目に、迷いはなかった。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:34:01.20 ID:1NzpO2A10

('Aナ) 俺は、まあ単純に気持ち悪りぃからだよ

次に口を開いたのは、左目に傷のある野球帽の少年だった。

〔(Ω)〕 気持ち悪い? ”オレたち”のことか?

('Aナ) ちげーよ、なんつーか……
    俺は、結構人間ってのが弱っちいって思ってるんだな、これが
    で、弱っちいから当然力を求める。
    しかも小ずるい性質も持ってるからなるべく楽して強くなろーとする
    てめーらは、なんつーか、そういう人間が求めるのにすっごく都合のいい『力』なんだ

〔(Ω)〕 わからねえな、結局てめえが気持ち悪いって思ってるもんの正体ってのは何なんだ?

('Aナ) あー……なんだろ、たぶん人間の『弱さ』?
    俺は、ただ単純に、人間のそういう部分が、他の人間を傷つけるのを見たくねーんだよ

〔(Ω)〕 けッ、なんだ、どんな高尚な理由かと思えば、単なる現実逃避じゃねーか

やっぱり人間なんてこんなものか、という風に吐き捨てるオメガ。
それに対して、少年は笑って言った。

('ーナ) そうだな、でも、人間臭くていいだろ?

野球帽の唾に手を掛ける少年のその顔は、彼の実年齢とは不相応に大人びて見えた。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:35:12.45 ID:1NzpO2A10
〔(Ω)〕 なんなんだ、聞いててどんどん分からなくなって行く気がするんだが……

全身から赤い光を放ちながら、腕組みをして物思いに浸っているTASIROのその姿がどこか滑稽で、
モララーは思わず噴き出してしまった。

〔(Ω)〕 なんだよ、何がおかしい

( ・∀・) くくっww いや、失礼。
       キミがいやに人間臭かったもんだからつい、ね。

〔(Ω)〕 人間臭い……か?

再び考えるTASIRO。しかし、やはり答えは出なかったらしく、苦し紛れに彼はこちらに訊ねてくる。

〔(Ω)〕 あー、まあいい。これについてはてめえらを倒したあとでじっくり考えるとしよう。
     で、最後はてめえだ。お前が戦う理由はなんだ?

しかしモララーはそれには答えず、
目にも留まらぬ速さで両隣の二人を自分の方に引き寄せると、その耳に向けて小さくささやいた。

(  ∀ ) ボクの戦う理由を合図に、一斉にあいつにアサルトを放つよ

川;゚ -゚) なッ!? モララー、それは……

クーが驚くのも無理はない。それは、失敗すれば即、死に直結する危険な賭けだからだ

('Aナ) ……何か策でも?

(  ∀ ) 大丈夫、ボクを信じて

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:36:34.29 ID:1NzpO2A10

静かな声で言う彼に、頷く二人。
それを確認したモララーは、目の前の『王』に顔を向け、言った。

( ・∀・) ボクが戦う理由は、この二人みたいに綺麗なものじゃない
       ボクは、誰でもないボク自身のために、この戦いに身を置いているんだ

どこか元気の無いような、自分を責めているような、そんな声で言う彼に、
しかしオメガは、彼のその様子には全く興味がないという風に訊ねる。

〔(Ω)〕 ……周りくどい言い方してんじゃねーよ。なんなんだ、てめえが戦う理由ってのは?

それに対し、モララーは少しだけくすりと笑う。
彼は少しだけ間を置いて、その口元に笑みを浮かべたまま、言った。

(  ∀ ) ボクが戦う理由、それは―――

仲間への攻撃の合図にもなる、その言葉を―――


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:37:27.31 ID:1NzpO2A10









(  ∀ ) ボク自身の『夢』のためさ










29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:39:34.08 ID:1NzpO2A10
〔(Ω)〕 『夢』……か。それもオレには分からねえもんだな
     その内容にも興味があるが、しかし……

オメガは、自分の左右から飛び込んでくる少年少女に、限界まで活性化させたセキラを込めた手を放つ。

〔(Ω)〕 それはどうやら”永遠の謎”ってことになりそうだな、どーにも

オメガの両腕から、圧縮されたセキラが、極太の光線となって二人に放たれる。
光線によって空間そのものに放たれる”攻撃”に、少年少女の姿が掻き消され、
そして光線が完全に消え去る頃、少年たちの姿は完全に消えうせていた。

〔(Ω)〕(こちらの攻撃にまぎれて、うまく姿を隠したつもりか……?)

だが、この身を隠す場所の少ない廃工場内では、そんな悪あがきは無意味だ。
そう判断したオメガが、自らのカメラレンズで左右を見回していると、
ふいに工場内に、よく通る叫び声が響いた。

「アサルトッ!!!」

声の聞こえる方向は、真上。
すかさず鎌状の刃のついた左腕をその方向に打ち出す。

〔(Ω)〕 はん、一番若けぇのから死にに来たってトコか

(#'Aナ) ―――!!

顔をあげるオメガのカメラが捕らえたのは、左目に傷のある少年の姿。
少年の携帯電話の付いた右足には、限界まで活性化されたセキラがばちばちと音を立てている。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:45:57.61 ID:1NzpO2A10
攻撃を受け止めている左腕を、少年の右足が蹴る。
その反動で空中に逃げた少年は、空中で一回転し、着地すると
ふたたびこちらに向かって右足の蹴りを放ってきた。

〔(Ω)〕 けッ、バカのひとつ覚えってヤツか

(#'Aナ) 悪かったな、バカで!!

活性化させたセキラでの攻撃は確かに威力は高いが、
しかしどこから攻撃がくるのか分かっていれば、
セキラの量で勝るこちらがそれを防御するのは簡単すぎるくらいである。
しかも、少年の攻撃は一発一発が荒く、まるでこちらに当てる気がないかのようだ。

〔(Ω)〕 ……左目か、人間ってのは不便だねぇ。距離感がつかめてないんだろ?

(#'Aナ) ああそうだよ! 蹴りたいとこに全然蹴りがいかねえ!!
    怪我と疲労のせいで体も思うように動かねえし! あー気持ち悪ぃ!!

言いながら少年が再び地を蹴り、宙を舞う。
空中で一回転した彼が放つのは、先ほどと同じ右足からの蹴り。

〔(Ω)〕(やっぱりただ、死にに来ただけか)

そう思ったオメガが、圧倒的な攻撃力を秘めた右手で、
こちらに蹴りを放つ少年をその攻撃ごと葬り去ろうとしたとき、
少年の顔に、一瞬笑みが浮かぶ。

(#'∀ナ) せーぜー足元掬われやがれ、バカな人間にさ

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:47:48.92 ID:1NzpO2A10
少年の不敵な笑みにオメガが疑問を持つと同時に、
セキラを感じることのできる、彼の特殊な”感性”が
巨大な”自分たち”の反応が自分に向かって飛んできていることに気付く。

〔(Ω)〕(バカめ、二段仕込みの攻撃でこちらの裏をかいたつもりか)

おそらくはダミーであろう、少年の攻撃を右手で受け流し、
活性化させたセキラを、自らの”依り代”たる”目”に収束する。





―Assault:「TASIRO砲」―





目に文字が表示され、そして次の瞬間、極太のセキラの光線が
それに触れるあらゆるものを破壊しながら、
こちらに向かって飛んでくるセキラの『矢』にむかって放たれた。

川#゚ -゚) ―――!!!!

その先には、携帯電話を『弓』のようにかまえる少女の姿。
彼女の肉体を、オメガの放ったセキラの閃光がかき消すまでの数瞬に、彼は考える。

〔(Ω)〕(と、ここまでは恐らく”ダミー”だな。本命はさっきから姿が見えないあのガキだろう)

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:51:34.73 ID:1NzpO2A10
自分を倒すための『一撃』に、彼らが賭けているとするなら、
「夢のために戦う」と言っていたあの少年のほかに自分に致命傷を与えられるような人間がいるとも思えない。
そう判断したオメガのカメラアイの隅に、全身に携帯電話をくっつけた少年の姿が映る。

一瞬の判断で、少女のほうに向いていた『TASIRO砲』の砲門を、彼のほうに向けなおす。
―――いや、正確には、”向けなおそうとした”のだ。

〔(Ω)〕 何?

自分の攻撃は、少女に届かないまでも彼女の放ったセキラの矢を相殺していた。
携帯電話を全身に装備した少年は、今、目の前で自分に攻撃を放とうとしている。
残るは一番初めに飛び込んできた少年だが、
彼はすでにセキラを活性化させられる時間の限界を迎えているはずだ
つまり、今現在、自分に影響を与えられる人間などこの場にいない。そのはずなのに……

なら、なぜ

(#'Aナ) だから言ったろ、足元掬われるってさ

―――自分の顔が、がっちりと固定されて動かない?

(#'Aナ) いざってときのために、ツーから預かったこいつの”中身”を温存しといて正解だったぜ

オメガからは見えるはずもないが、少年の両手には、
先ほどまで彼の右足についていた赤いセパレート携帯が、分断されて取り付けられていた。
つまり『王』は今、一人の少年に顔をがっちりと挟み込まれ、動きを封じられていたのだ。
彼の集音マイクが、こちらに飛び込んでくる少年の雄たけびを拾う。

(  ∀ ) アサルトッ!!



54 名前:訂正:十二話>>32と>>33の間[] 投稿日:2011/01/26(水) 22:56:41.72 ID:vh0AiJ3C0 [36/39]










( ΦωΦ)―Assault:「アメイジングマイティキック」―











33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:55:29.12 ID:1NzpO2A10
少年は、宙を舞っていた。

(# ∀ ) はあああああああああああああ!!!!

少年の体を走る赤い光のラインが、全身に取り付けられた四つのデバイスに吸い込まれていく。
両手、両足にとりつけられたそれらから、赤い光がばちばちと音を立て、活性化されていき、
そして、両腕で限界まで圧縮されたそれが、少年が空中で回転すると同時に、
両足のデバイスに向けて一気に放たれる。

(# ∀ ) おりゃああああああああアアアアアア!!!

セキラの活性化に加え、活性化したセキラの放出を上乗せした両足での飛び蹴り。
未だに何もない空間に向かってセキラの光線を放出し続けている『王』の胸に、
それは強力な衝撃を持って叩きつけられた。

〔( )〕 ―――が……ッ!!!

少年の蹴りのあまりの衝撃に、オメガの立つ地面が砕け、
彼を抑えていたドクオが後方に吹き飛ぶ。
空間に、まるで雷鳴のような轟音が轟き渡り、
そしてそれが終わるころ、そこには地面に着地した少年と、
その眼前にたたずむ、『王』の姿があった。

〔( )〕 ぐ……ぅ……ぁ……

(# ∀ ) ァ……ハァ……ハァ……

しゃがんだ姿勢で荒い息をしながら、モララーは目の前にたたずむTASIROの姿を見上げる。
自分にできる限界の威力を誇るアサルト『アメイジングマイティキック』。
この攻撃が失敗していたら、自分たちにはもう勝ち目がない。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:02:12.70 ID:1NzpO2A10
モララーの目に映るオメガの姿。
微動だにせず、ただその場に立っているそれは、まるで電柱か何かのようだ。
目からは、先ほどまで絶えず表示されていた赤いギリシャ文字の『Ω』が消え、動かないその姿にモララーは

(# ∀ )(やったか……?)

一瞬、そんな希望を持つ。しかし―――

〔( )〕 ……は……

(# ∀ ) !!?

〔( )〕 ははは、ははははははは!!!

―――あたりに響き始める笑い声に、その希望は無残に打ち砕かれてしまった。

〔(Ω)〕 この程度か? この程度がてめえらの限界か、なあ、『人間』?

くつくつと笑う彼。その顔を見て、モララーの目から光が消える。
駄目だった、自分の最強の威力を持つ攻撃さえも、目の前の『王』には通用しなかった。
自分たち三人は、先ほどアサルトを放ってしまったせいで、完全にセキラが沈静化している。
それは目の前の『王』にしても同じだろうが、彼と自分たちでは保有しているセキラの量が違う。
限りなく0に近かった自分たちの勝率は、もはや0になってしまった。
もう駄目だ……いや、あるいはこれでよかったのかもしれない。
ようやく、そうだ。これでようやく、自分がずっと取り憑かれてきたこの『夢』も―――

〔(Ω)〕 あ……?

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:03:17.79 ID:1NzpO2A10
ふいに、オメガが気の抜けたような声を上げる。
首を振ったり、曲げたり、意味不明な行動をとっている彼の姿を、
モララーは不思議そうに見守っていた。

〔(Ω)〕 なんだこりゃ、おい、おいおい……

オメガの首の動きが激しくなる、何が起こっているのかわからないモララーはその様子をぽかんと見つめている。
しかし、回転の早いモララーの頭が、やがていつも通りの機能を取り戻したとき、彼は気付いた。

〔(Ω)〕 『人間』……オレを、倒したってのか……?

信じられない、というようにぽつりと呟く『王』。
その姿をぼーっと見ながら、少年は静かに立ち上がり、彼のもとに赴く。

(  ∀ )(体が……動かないのか……?)

よたよたと頼りない足取りで、『王』の目の前まで歩み寄ったモララーは、
右手で『王』のボディーをつ、となでる。
おおよそ小型ミサイル一発分の威力を持つ、
あの『アメイジングマイティキック』を食らったにも関わらず、そこには目立った傷跡は見られない。

(  ∀ ) なら……なぜ……?

彼の体を撫でていた手が胸の位置にまで達したとき、モララーはそこに、わずかにヒビが入っていることに気付いた。
―――それは先ほどブーンが、彼のボディを蹴ったときにつけた傷だった。

(  ∀ ) はははははははは!!!!

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:04:23.34 ID:1NzpO2A10
〔(Ω)〕 なんだ、何がおかしい?

突然笑い出すモララーに、オメガが訝しそうな声で訊ねる。
しかし、モララーはそれには答えず、他人にはおおよそ意味の分からない、
独り言とも、誰かに話しかけているともつかない口調で言った。

(  ∀ ) そうか、やっぱりキミだったんだね、ブーン。
       ボクに夢を与えてくれたのがキミだったように、
       ボクの夢をかなえさせるのもまた、キミだったってわけだ

〔(Ω)〕 ? ……何言ってんだ、てめえ

オメガの体が動かなくなった理由。それは、先ほどの戦闘でブーンがつけた傷だった。
圧倒的な威力を誇るモララーの『アメイジングマイティキック』は、
活性化されたオメガのセキラの鎧を破壊するには至らなかったものの、
その鎧に一瞬だけ穴をあけ、濃縮されたセキラをその鎧の内側に流し込むことに成功していたのだ。
鎧の内側に入ったセキラは、まるで針のようにブーンのつけた傷跡からオメガの体内にもぐりこみ、
彼の体の中を、機能しなくなるまでボロボロに破壊したのである。
モララーは、ゆっくりと彼の顔の両側に手をかけた。

(  ∀ ) この勝負、キミの敗北ってことでいいんだよね?

〔(Ω)〕 ……ふん、まあ納得はいかねえが、これが結果なんだからしょうがねえだろ

ぶすっとした声で言う彼の頭を、モララーはセキラによって強化された腕力をもって、
思い切り回転させた。―――引きちぎった。
オメガのほうはあとはどうとでもなれとでも思っているようで、
首を引きちぎられても、なんともないという口調で言う。

〔(Ω)〕 そういや、てめえの『夢』ってのは結局なんだったんだ?

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:06:08.21 ID:1NzpO2A10
(  ∀ ) そうだね、これでキミと話すのも最後になるだろうし、せっかくだから教えといてあげようか

引きちぎったオメガの頭についている、レンズ状の大きな目に、
モララーは指で触れることで、キーボードを表示させる。

入力デバイスとしての本来の使い方をしながら、黙っているオメガにモララーは言った。

(  ∀ ) ボクの『夢』……それは突拍子がなくて、あまりに現実味がなくて
       到底かなえられないと思っていた。でも、そこにキミたちが現れた。
       正直、キミたちには感謝しているよ。もしキミたちが現れなかったら、
       ボクはこの『夢』をずっと胸に秘めたままこれからの人生を送らないといけなかっただろうからね

オメガの頭を顔の前まで持って行き、モララーはそれを体の正中線に沿わせ、だんだんと下に下げていく。

〔(Ω)〕 だからてめえは回りくどいんだよ。オレが聞きてえのは、そんな長ったらしい御託じゃねえ

(  ∀ ) そんなせっかちなこと言わないでよ、やっと『夢』がかなうんだ。
       少し余韻に浸りたいのさ。

オメガの頭がモララーの下腹部にまで下がったとき、モララーはぐっとその頭を下腹部に押し付けた。

オメガの頭の両脇から、赤い光がベルトのように伸び、モララーの体に巻きつく。
それはすでにモララーの体に装着されている四つのデバイスから出る光と交わり、そして……

(  ∀ ) 教えてあげるよ、ボクは……ボクはね―――

モララーの全身が、赤く輝き始める。

(  ∀ ) ―――ボクは、『怪獣』になりたいんだ


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:06:48.72 ID:1NzpO2A10









( ΦωΦ)―Form Change:「Ultimate」―











39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:08:25.88 ID:1NzpO2A10
川;゚ -゚) ……

素直クールは、赤く輝く後輩の姿を呆然と眺めていた。
彼の全身を包む赤い稲妻は、まるでヘビの群れのようにのた打ち回り、
辺りの地面を削り取っている。

(  ∀ )

やがて光が晴れる頃、そこにあったのは全身に五つのデバイスを装着したモララーの姿。
先ほどまでは丸みをおびた幾何学模様のようだった、全身を走るセキラのラインは、
いまではどこか荒々しく、ぎざぎざとした不規則なものへと変貌していた。
はっ、と彼女は彼に声をかけようとして、しかしなんと声をかけていいものか分からず

川;゚ -゚) も、モララー……?

ただまぬけな調子で、彼の名前を呟くことしかできなかった。

その声に気付いたモララーは、ゆっくりと彼女のほうに目をやり、笑う。

( ・∀・) あ、クー先輩、やっぱり生きてたんですね。元気そうで何よりです

その笑顔は、いつもの彼のものと変わらないようで、しかしどこか違和感があるような。
なんとも言えない感覚に、クーは言葉を返すことができない。

( ・∀・) 先輩は、大事な『候補者』ですから、
       死んじゃってたらどうしようって心配してたんですよ

川;゚ -゚) 『候補者』だと? なんのだ? いや、っていうかお前その姿は……

答えず、モララーは笑顔を消さずに掌をクーに向けた。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:22:51.64 ID:1NzpO2A10
川;゚ -゚) ? ……何だ?

( ・∀・) 『候補者』ってのはですね、『正義の味方』の、ですよ

川;゚ -゚) 何だ、お前、何を言って……!!

ばちっ、という音が、脳内に響いた。
体から急に力が抜け、思わず両膝を地に着く。

川; - ) 何だ……モ…ララー……な…に…を……

「何をするつもりだ」と彼に言おうとして、彼女は意識を失った。
意識が闇に包まれるその一瞬、彼女の耳がモララーの言葉を拾う。





(  ∀ ) 期待してますからね





その言葉の意味もつかめぬままに、彼女の意識は完全に闇の中へと堕ちて行った。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:23:39.70 ID:1NzpO2A10





     ( ^ω^)彼らは携帯電話を武器に戦うようです
             第十二話「驚愕」
               おわり






42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:25:40.02 ID:1NzpO2A10

     ―次回予告―

ミセ*;゚ー゚)リ ね、ねー、クー。本当に行くの?

川 ゚ -゚) ……何か、悩みでもあったのか

( ΦωΦ) ……モララー殿

( ・∀・) クー先輩、あなたには捨てられない夢はありますか?




     第十三話:「炎上」






44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:26:32.78 ID:1NzpO2A10





     +おまけ:「解説」+






45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:27:45.99 ID:1NzpO2A10

Amazing:「あめいじんぐ」
四つのデバイスでセキラをコントロールする形態変化、
使用者は、自らの所有するセキラとある程度融合した状態になる。
四つのデバイスを使うことでセキラのコントロールがある程度自由になり、
沈静化しない程度であれば、アサルト宣言無しでもセキラを活性化させることができる。
使用者はモララー。

Mighty Fighter:「まいてぃーふぁいたー」
下腹部にデバイスをとりつけて格闘能力をあげるFighterに、
さらにもう一つデバイスを取り付けることにより、更なる身体能力の増強を可能にした形態変化。
Amazingと同様に、複数のデバイスを使用することによってより高度なセキラコントロールを実現している。
そのため沈静化しない程度であれば、アサルト宣言無しでセキラを活性化することができるが、
その精度は、Amazingに比べ劣る。
使用者はドクオ。

Ultimate:「あるてぃめっと」
五つのデバイスと全体の40%以上の量のセキラによって実現する究極の形態変化。
自らの保有するセキラと完全に融合し、セキラを自分の手足のように操ることができる。
なお、この形態に限り活性化したセキラの沈静化現象は発生しない。
使用者はモララー。


46 名前: ◆6ZgdRxmC/6 :2010/12/16(木) 01:30:15.04 ID:1NzpO2A10
そんなわけで十二話「驚愕」でした。

読んでくれたやつら、支援くれたやつら、
そしてスレ立て代理の>>1、ほんとありがとう

そんなわけで本日の投下を狩猟します。
「さあでてこいのおじさん」って知ってる人いんのかな……

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