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('A`)ドクオは勇者になったようです ‐16‐『砂煙の町』


6 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:53:33.25 ID:/dgGdGUd0
 頭と身体が分離した多くの死体と、辺りを濡らす血の海。

その中に男がひとり、立っていた。


( ・□・)「……」


 彼の手には、赤に染まった剣が握られている。
刀身についた血を払い、物言わぬ肉片に向かって、彼は話し掛けた。


( ・□・)「ねぇ、君」


 当然、返事はない。
だが、男は構わず続けた。


( ・□・)「今の魔王は、何がしたいんだい?」

( ・□・)「亜人や化け物は野放し。それどころか、集落や町を襲わせる指示を出してるそうじゃないか」

( ・□・)「今なら、よく分かるよ。先代がどれだけ優れた魔王だったかが、さ」


 死体に話し掛けるのをやめ、男は北の方角に視線を向ける。

足元の死体は、粒子化が始まっていた。

7 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:54:35.11 ID:/dgGdGUd0

('A`)ドクオは勇者になったようです
‐16‐『砂煙の町』


11 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:56:56.97 ID:/dgGdGUd0
('A`)

 『そこ』は、真っ暗闇の世界だった。
上も下も、どこを見ても黒。

それ以外の色は、どこにも見当たらない。

何だろう、この世界……
なんにもないし、誰もいないんじゃ―――


('A`)『何しに来たの?』

(;'A`)「うわ!」

('A`)『何で、ここに来たんだ?』

(;'A`)「何でって……? というか、……え?」

 ―――あぁ、なるほど分かったぞ。
これ、夢なんだ。

それなら僕が二人いる理由がつくし、それに、

lw´  _ ノv

 もしもこれが現実なら、魔王に攫われたシューさんが、
今ここにいるはずがないもんな。

12 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:59:20.96 ID:/dgGdGUd0
(  ∀ )

 うん、モララーも、ここにいる訳がない。
だからこれは夢なんだ。

川  - )

(  ω )

ξ ⊿ )ξ

 あぁ、君たちもいたのか

わざわざ、僕の夢にまで出て来る必要はないのにな。
どうせなら、全員現実の世界で集合してると嬉しいんだけど……

('A`)「シューさ…… lw´  _ ノv『―――て』

('A`)「え?」

lw´  _ ノv『―――て』

(;'A`)「? ごめん、……よく聞こえないよ」

lw´  _ ノv『ど―――して』

 なんだ?
なんて言ってる?

よく聞こえない……

13 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:01:02.93 ID:/dgGdGUd0
lw´  _ ノv『―の――くせに……』

lw´  _ ノv『勇者のくせに―――』

lw ゚ _ ノv『どうして助けてくれなかったんだ?』

(;'A`)「!」

 恨み言を吐いたシューさんの身体が、

どろり

砂人形に水をかけたみたいに、崩れていく。

(;゚A`)「し、シューさん?!」

lw:"::_%"ノv『勇者のくせに、勇者のくせに、勇者勇者勇ののののくせに
       勇者のくせにゆ勇者のくせに勇者のくく』

(;゚A`)「……」

lw:"%%_":ノv『ゆ勇者勇者勇者勇者勇者勇者ののののゆゆゆゆううゆ勇者』

(;゚A`)「あ……」

 何で……何で僕の夢のくせに、こんな悪趣味な事になってるんだよ!
現実でも夢でも逃げる場所がないなんて、そりゃあ大層悪い夢だ。

夢なら醒めろ、早く、早く!!

16 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:03:13.71 ID:/dgGdGUd0
(;゚A`)「早く…… (  ω )『そもそも、出来るわけがないんだお』

(  ω )『ニートが魔王を倒す、なんて。漫画やゲームじゃないんだお?
      僕たちみたいな凡人に、主人公補正とかご都合主義がかかる訳もない。
      所詮、僕たちは脇役なんだお』

(  ω )『その他大勢のうちのひとりで、きっと主人公は他にいるお。
      僕たちは、その主人公を引き立てる役でしかないんだお』

(;゚A`)「……」

ξ ⊿ )ξ『アンタさぁ、自分に向けられた手すらも取れないの?』

ξ ⊿ )ξ『この、クズが』

 ……ごめん……ごめん……
……ごめんなさい……

(; A )

川  - )『お前はいつも口だけなんだよ』

川  - )『戦いたい。強くなりたい。魔王を倒したい』

川  - )『でも、苦労はしたくないし、死にたくも傷つきたくもないんだよな?』

川  - )『ははは、随分わがままじゃないか。
     何の犠牲も払わずに、大きな願いが叶うとでも思ってるのか?』

17 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:04:15.64 ID:/dgGdGUd0
 ……君の言う通りだよ、クー。

正論すぎて逆にムカついてくるぐらいだ。
君の言ってることは正しい。

でも、それが普通だろ……?

出来れば苦労したくない。
だから、人は機械やロボットを作った。

死にたくも傷つきたくもない。
だから、薬やら服が出来た。

それは、ニートじゃなくたって同じはずで―――

ξ ⊿ )ξ『ほんっと、アンタって役立たずね』

(  ω )『役立たず』

川  - )『この、役立たず』

 嫌悪。侮蔑。諦念。

……やめろ、やめてくれ、そんな目で僕を見るな……
そんな視線は、もう充分すぎるくらいVIPで受けてきた!

それでもまだ足りないっていうのか?!
じゃあ、あとどれだけその視線を浴びればいいってんだよ……!

18 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:05:23.13 ID:/dgGdGUd0
(; A )「……」

(  ∀ )『味方すら敵に回すなんて、それって本当に「勇者」なのか?』

(; A )「ご……ごめん……」

川 ∀ )『嫌なものを見たくないから目を閉じて、都合の悪いことを聞きたくないから耳を塞いで?
     色んなものから逃げ続けて、そこからどうするつもりなんだ?』

(; A )「……ごめん……」

ξ ∀ )ξ『ねぇ、アンタ何が出来るの? 戦うことも出来ないし、
      誰かの手を取ることも出来ないんでしょ?
      ねぇ、これ以上、何を捨てるつもりなのよ?』

川 - )『なぁ』

ξ ∀ )ξ『ねぇ』

(  ω )『聞いてるかお?』

(; A )

 ごめんなさい……本当にごめんなさい
ごめん、ごめんなさい

君たちの言う通り、僕は何も出来ません
誰かを助けることも、手を取ることも、戦うことも出来ないんだ

19 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:06:49.81 ID:/dgGdGUd0
川 ∀ )『お前は、なぁんにも出来ないんだよな』

(  ω )『誰かの影に隠れることしかできないくせに、言うことだけは達者だおね』

ξ ∀ )ξ『アンタ見てると、勇者ってどういうものだか分からなくなってくるわ』

 あと何回謝れば、僕は許してもらえる?

喉から血が出ても謝り続けるから、土下座でも何でもするから、
だから、だから、もう許してください

ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい

(  ∀ )『―――俺、忠告してあげたよな?』

(  ∀ )『お前には、何も出来ない』

(  ∀・)『だから、もう諦めろってさ―――』

 それはそれは楽しそうに、モララーは笑った。

……僕じゃ、魔王に勝つどころか、シューさんや君を取り戻す事もできないって……?

『脇役』だから。
『役立たず』だから。
『人を助けることすらできない』から……

21 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:07:51.98 ID:/dgGdGUd0
だから……「―――さい」

「――て―――さい」

(;'A`)「……?」


 この声は?
……誰の声だ?


「―――起きてください」


 ああもう、この際誰でもいいや

こんな夢から離れられるなら、この声の主が誰だろうが、そんなのどうでもいい
だから、早く目を覚まそう。

夢よりも現実の方がマシだって思う日が来るなんて、今まで一度も考えた事なかった―――

22 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:09:17.51 ID:/dgGdGUd0
 * * * * *
* * * * *

(;゚Aメ)「―――ッ!」

(゚、゚トソン 「あ、やっと気がつきましたか。
     かなりうなされてたので、一応起こさせてもらいましたよ」

(;'Aメ)「……。……えっと、君は? そうだ、みんなは? ここどこ?」

(゚、゚;トソン 「質問多いですね」

(゚、゚トソン 「……私は都村トソン。あなたの仲間は全員無事です。
      ここは『オアシス』の診療所。あなたは丸2日、眠ってました」


 全員無事? ……良かったよ
本当に、良かった。

それにしても、丸2日も僕は眠ってたのか……。
そりゃあ悪夢も見るわけだな……

23 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:10:46.21 ID:/dgGdGUd0
(゚、゚トソン 「砂漠のど真ん中で人が倒れてるのを見つけた時は驚きましたよ。
      ……傷は大丈夫ですか?」

(;'Aメ)「……うん。……えっと、トソン? 君が助けてくれたのか?」

(゚、゚トソン 「いいえ。正確には、医療都市から来ていたお医者さんが。
      私はあなたたちを見付けただけで、別に何もしてません」

(;'Aメ)「……そうか。でも、ありがとう」

(゚、゚トソン 「どういたしまして」

 医療都市、か。
どっかで聞いた覚えがあるな、どこだったっけ?

……ああ、廃棄街の手前だ。
確か、兄者たちが行った所がそんな名前だった。

医療都市なんていうくらいだ、医者の腕もいいんだろう。

そんな街の人が偶然このオアシスに来てたなんて、
トソンに見つけてもらった事も含めて、僕らは相当運が良かったようだ。

('Aメ)「……僕の他に、何人いた?」

(゚、゚トソン 「3人です。そういえば……皆さん、酷い怪我してましたけど、
      あなた達……一体何と戦ったんですか?」

('Aメ)「……」

24 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:12:34.09 ID:/dgGdGUd0
 「何と戦った?」か……
クーたちが傷つきながら戦ったのは、魔王でも化け物でも、亜人でもない。

……ここまで一緒に旅してきた、

( Aメ)「……仲間、……だよ」

 仲間「だった」なんて過去形にはしたくない。
過去形になんかしたら、もうモララーは正気に戻らないみたいじゃないか。
「元に戻る可能性が限りなく低くても、口先だけは魔王に屈したくない」
……それくらいの意地は、張ったっていいだろ?

(゚、゚トソン 「……そう、ですか」

('Aメ)「他の3人は?」

(゚、゚トソン 「約2名は、なんの心配もいらないですよ。
      まだちゃんと怪我が治ってないっていうのに動き回るんだから」

(゚、゚トソン 「あと1人も、めきめき回復してます。
      4人の中では、恐らくあなたが一番危険な状態だったかと」

(;'Aメ)「そ……そうか。みんな生きてるなら、それでいいんだ。本当にありがとう」

 みんな相変わらず元気そうで良かった。
誰かにもしもの事があったら、もう僕は『勇者』なんて続けていられないから……。

でも、シューさんもモララーも、魔王側に奪われたままなんだよな……
やっぱり素直には、喜べない。

25 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:13:46.67 ID:/dgGdGUd0
(゚、゚トソン 「そうだ、―――あなた『勇者』……なんですね」

('Aメ)「それはVIPの政府がそう呼んでるだけだ。
   本当の『勇者』は、こんなにダメじゃないよ」

(゚、゚トソン 「……」

('Aメ)「助けてくれてありがとう。でも、もう行かなきゃ」

 攫われて行ったシューさんを、助けに行かないと。
それと、モララーを正気に戻す方法を考えないと。

そうだ、やらなきゃいけないことは沢山ある。

どれだけ酷い怪我を負っていたとしても、こんな所で暢気に寝てる暇はないんだ……!

(゚、゚トソン 「無理ですよ、まだ怪我も治ってないのに……。
      腹に穴空いてるんですよ? そんな人に、一体なにが出来るってんですか」

( Aメ)「……魔王を倒してVIPに戻るって、約束した。
   そうでなくても、魔王には、大切なものを沢山持っていかれてるんだ」

 メイドロボットも、名前も知らない、VIPの人達も。

魔王に持っていかれて、それはもう二度と戻ってこない。

( Aメ)「でも、まだ間に合うものもあるはずだ。だから取り戻しに行く。
   多少の怪我なんか、何も! (゚、゚トソン 「そんな身体じゃ、無理です」

27 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:15:08.77 ID:/dgGdGUd0
(゚、゚トソン 「ここに来る前、あなたたちに何があったか、なんて知らないですよ。
      でも、大人しく怪我を治して、万全の状態で魔王に臨むのが『勇者』のやるべき事でしょ」

(゚、゚トソン 「死んだら元も子もないんですかr (; Aメ)「……分かってる、分かってるよ!!」

(; Aメ)「でも、何かしたいんだ!」

(゚、゚トソン 「……」

(;'Aメ)「……ごめん……」

 あぁ……くそ、助けてくれた人に八つ当たりなんて最低だ。

トソンに怒鳴り散らしたって何の解決にもならないじゃないか。
命の恩人にかける言葉は、もっと他にもあるだろう!

(;'Aメ)「あ、痛て……」

(゚、゚トソン 「動かないでください」

 思うように動かない身体が、もどかしい。腹立たしい。
肝心な時に動いてくれないんだったら、こんな身体、邪魔なだけだ!

28 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:16:18.49 ID:/dgGdGUd0
(; Aメ)「くそッ、ちくしょう! 動け、動けよ! 早く助けに行くんだ!
    一刻も早く、魔王を倒すんだ!! 廃棄街で誓っただろ!
    こんな場所でっ! こんな場所で寝てる場合じゃないんだよ!」

(; Aメ)「回避とか、戦う練習とか、やらなきゃいけないことは沢山あるんだ!! 早く! 早く!!」

(; Aメ)「ああぁあぁあ!! ッちくしょう!! 動け! 動けよ!!」

(゚、゚トソン 「……」

(゚、゚トソン 「……あなたが目を覚ますのを、ずっと皆待ってましたよ」

(゚、゚トソン 「今、呼んで来ますね」

(; Aメ)「……」

 ……ごめん、トソン。

普通の人の前でこんな醜態晒すなんて……『勇者』のやることじゃないよな……。
もう、僕はとことんダメだ……

32 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:17:40.75 ID:/dgGdGUd0
( ^ω^)「―――ドクオ!! やっと意識が戻ったのかお?! 良かったお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「おっそいわよ、バーカ。心配させるんじゃないっての」

川 ゚ -゚)「待ちくたびれたぞ。怪我は大丈夫か?」

 程なくして、クーたちが枕元にやって来た。

大丈夫。まぁ多少傷は痛むけど、元気だよ。

―――さぁ、次は何を言う?

『役立たずだから、お前はここで置いていく』とでも言うか?

( ^ω^)「顔色も、まぁ良さそうだおね!」

ξ;゚⊿゚)ξ「え……そう?」

 助けを求めてたシューさんの手を取れなかったこと、責めればいい。

夢の中では、散々言いたい放題言ってたじゃないか。
心の中じゃ、本当はそう思ってるんだろ?

気遣いの言葉なんか、いらないよ。

33 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:19:01.72 ID:/dgGdGUd0
('Aメ)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、アンタいつも顔色悪いしね」

( ^ω^)「傷は痛くないかお?」

('Aメ)「あ……あぁうん、もう大丈夫……」

川 ゚ -゚)「それなら良かった。さぁ、早く怪我を治せ。魔王城まではまだ、遠いぞ」

( ^ω^)「ゆっくりしてる暇はないお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ま、意識戻って良かったじゃないの。
      鞭の相手が一人しかいないんだから、さっさと復帰しなさいよ。
      ビシバシ指導してあげるんだから」

( Aメ)「……」

( Aメ)「うん……分かった」

 人の心の中は、分からない。

いつか見限るつもりなら、優しい言葉なんかいらないんだよ

『まだ僕にも出来ることがあるかもしれない』
なんて勘違い、もう……したくないんだ

34 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:20:03.57 ID:/dgGdGUd0
(;Aメ)「……。ごめん……」

川;゚ -゚)そ

(;^ω^)そ

ξ;゚⊿゚)ξそ

ξ;゚⊿゚)ξ「え?! 何?! 何で泣くの?!」

(;Aメ)「ごめん……ごめん……」

 ほら、あの夢みたいに―――
『役立たず』と言えばいいじゃないか。

僕は皆の足を引っ張るぞ。
だから、ここで黙って見捨てて先に行けば良かっただろ?

僕がのんきに寝てる間、いつだって進めたはずだ。

なのに、目を覚ましたら、皆いてくれた。
それどころか、待ってるから早く怪我を治せとさえ言ってくれる。

こんなに良い奴らに恵まれてるってのに、何で僕はこんなに……クズなんだ……

36 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:21:18.32 ID:/dgGdGUd0
(っAメ)

(;^ω^)「な、何だお?! どうしたんだお、ドクオ! 傷が痛むのかお?!」

ξ;゚⊿゚)ξ「泣く労力を、怪我の回復に回しなさいよ! バカね!」

川 ゚ -゚)「……」

(;'Aメ)「う……ご、ごめん」

(゚、゚トソン 「―――そうそう、大人しくしてればいいんですよ」

(゚、゚トソン 「本気で魔王を倒したいなら、尚さらね」

 あ……そうだ、トソンにもかなり迷惑をかけたんだった

ちゃんとお礼言わないと―――

('Aメ)「―――ん?」

 少し離れた所に立つトソンの左手に、見慣れた番号が見えた。

『0009』

……あれって、『勇者』の数字……だよな?

38 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:22:39.32 ID:/dgGdGUd0
(;'Aメ)「あれ? 君も『勇者』だったのか?!
    さっきはそんな事、一言も…… (゚、゚#トソン 「私を引きこもりニートなんかと一緒にしないでください!」

(゚、゚#トソン「私はたまたまバイトを首になっただけで、ちゃんと働いてましたから!
      ニートと一緒にされるなんて、非常に心外です!
      ニートと同類に見られるくらいなら、死んだ方がマシです!!」

(゚Aメ)「すいません!」

ξ;゚⊿゚)ξ「……ま、少しは元気になったみたいで良かったわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「さっさと怪我を治すこと。それが、今のアンタに出来ることよ」

('Aメ)「……うん……」

川 ゚ -゚)「最近は戦ってばかりだったからな。たまには休むのもいい。お前も休め。
     これから先は、もっと大変になるだろうから」

( ^ω^)「その間は、これからの事とか、モララーをどうするかを考えようお」

('Aメ)「……分かった」

川 ゚ -゚)「トソン、ドクオを頼んでいいか?」

(゚、゚トソン 「構いませんよ。でも、あなたたちもまだ完治してないんですからね。
      あまり無茶しちゃダメですよ」

40 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:24:03.85 ID:/dgGdGUd0
川 ゚ -゚)「善処する」

( ^ω^)「努力しよう」

ξ ゚⊿゚)ξ「頑張ってみる」

 部屋を出た3人を目で追い、トソンは、呆れたように肩を竦めた。

(゚、゚トソン 「外傷なんて、寝てりゃー治りますよ。余計なことは考えず、寝なさい。
      弱ってるうちは、すぐに眠れるでしょ」

('Aメ)「……分かった」

(゚、゚トソン 「なんかあったら言ってくださいね。私はここにいますから」

('Aメ)「……」

 ―――シューさんは、今ごろ魔王の城にいるのかな
何もされてないといいけど……

モララーは、今なにをしてるんだろう
兄者も弟者も、生きてるよな?

VIPは……今、どのくらい酷い状態なんだ?

('Aメ)「……」

 ……悔しいけど、こんな状況じゃ何も出来やしないのは確かだ。
何をするにしても、早く動けるようにならないと。

42 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:25:19.54 ID:/dgGdGUd0
* * * * *
 * * * * *

 ―――漫画みたいに、3日やそこらで怪我が完治する訳もなく、
オアシスに担ぎ込まれてから、結構な時間が経った。

この頃は特に何もなく、平和な日が続いていたように思う。

川 ゚ -゚)「怪我の方はどうだ?」

('A`)「おかげさまで、大分良くなったよ」

(゚、゚トソン 「腕のいいお医者さんが来てて良かったですね」

('A`)「うん、後でお礼言わなきゃな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ま、お礼とかはここを出ていく時でいいでしょ。
      ―――それより、ちょっと話し合ってみたんだけど」

('A`)「?」

ξ ゚⊿゚)ξ「これから先、どうしたって魔王や六将との戦いは避けられないでしょ?
      でも、こっちは人数や戦力が圧倒的に不利」

ξ ゚⊿゚)ξ「だから、協力してもらわない?」

('A`)「協力?」

45 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:26:34.94 ID:/dgGdGUd0
ξ ゚⊿゚)ξ「えぇ、まともな亜人とか、腕に覚えのある人たちに、
     『一緒に魔王討伐しよう!』ってお願いするの」

('A`)「まともな亜人って……。そんな人、いるのかよ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ここから北東に進んだ所に、そういう奴らが住む集落があるの。
      外れ者ばかりだけど、いい人達よ」

ξ ゚⊿゚)ξ「私の故郷でもあるの。ちゃんと理由を話せば、きっと事情は分かってくれるわ」

('A`)「魔王討伐……協力してくれるかな」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうにかなるわよ。多分ね」

川 ゚ -゚)「とにかく、ツンの故郷の人達に会いに行ってみないか?
     ワカッテマスは用心深いからな。
     向こうの方が明らかに優勢でも、私たちを迎え討つために相当の戦力は確保してあるだろう」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……今、『勇者』はどれくらい残ってるんだ?」

('A`)「分からない。でも、半分くらい残ってたらいい方だと思う」

川;゚ -゚)「……半分、か……」

47 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:27:59.69 ID:/dgGdGUd0
(;^ω^)「……仕方ないお。僕らは、死んでもコンティニュー出来ないから……」

ξ ゚⊿゚)ξ「それに、魔王には改造した亜人や化け物がいるもんね……。
      その気になれば、死人を生き返らせる事だって出来るわ」

(;'A`)「……」

川 ゚ -゚)「どっちみち、私たちが不利だということは確かなんだ。
     こちらの状況が良くなる可能性があるかもしれない。
     とりあえずは、ツンの意見に乗らないか?」

(;'A`)「協力してもらえるなら、ぜひお願いしたいけど……」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、アンタが普通に動けるようになったら、一度北東に行きましょう。
      力になってくれるわ。きっと」

('A`)「分かった」

川 ゚ -゚)「それと、モララーについてだけど」

(;^ω^)「……最悪、モララーを正気に戻す方法が見付からなかった場合―――。
      僕たちは、モララーを『敵』と見做さなきゃならないと思うんだお」

('A`)「……」

('A`)「それって、最悪の場合はモララーと戦うってことか?」

50 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:29:07.98 ID:/dgGdGUd0
(;^ω^)「……」

(;^ω^)「言いたくはないけど、そういう事だお。
      でも、あくまでも『正気に戻す方法が見付からなかった場合』の話だお。
      きっと、何か方法はあるお!」

('A`)「……モララーとは、戦いたくないな……」

ξ ゚⊿゚)ξ「そんなの、皆同じに決まってるじゃない」

( ^ω^)「とにかく、出発しないと話は始まらないお」

川 ゚ -゚)「そうだな。後はお前だけだ、ドクオ。
     待ってるから、早いところ完璧に怪我を治せ」

('A`)「……分かった」

 ……話は着々と纏まっていく。
でも、モララーに刺され、ここに運ばれ、あの夢を見てから僕は、

('A`)「(あの夢の中でみんなが言っていた言葉は、全部本音なんだろうな……)」

('A`)「……」

 ……皆が言ってくれるどんな言葉も、素直に受け取れなくなった。

52 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:30:33.28 ID:/dgGdGUd0
人の心の中なんて、誰にも分からないだろ?

誰かが魔王側に行ってしまう事だって、これから先、絶対に無いとは言い切れない。
だったら最初から誰も信じない方がいいって考えるのは、おかしい話じゃない。

クーたちには、本当に悪いことをしてるんだと思う。
でも、……これ以上、信じてた人が魔王の所に行ってしまうのが、怖いんだ。

皆いつかはいなくなると思っていれば、本当にいなくなった時にショックが軽くなる。

そう、思っていれば気が楽で……。

( ^ω^)「じゃあドクオ」

('A`)「あ……うん」

( ^ω^)「また、明日来るお」

ξ ゚⊿゚)ξノシ

川 ゚ -゚)「……。お大事に」

('A`)「……」

 ―――あの『夢』が作った、小さな亀裂。

それが完全に割れて砕けるのは、もう少し後の話。

55 名前: 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:31:51.94 ID:/dgGdGUd0

('A`)ドクオは勇者になったようです
‐16‐『砂煙の町』
終了

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